金正恩が老将軍らに強要した「水中シゴキ」の現場写真

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北朝鮮の金正恩総書記は28日の海軍節に際して朝鮮人民軍海軍司令部を訪問し、祝賀演説を行った。

金正恩氏が海軍節に同司令部を訪れたのは、執権後は初めてだとされる。北朝鮮は基本的に陸軍国で、装備は全般的に老朽化しているものの、戦車や野砲の数は世界的にも有数の規模に達している。一方、「メカ好き」とされる金正恩氏は戦闘機に興味があるらしく、空中戦などの訓練もたびたび視察している。

「あの日の屈辱」

それと比べ、海軍に対しては、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など一部の兵器システム開発を例外とすれば概ね関心が薄かった。海軍は北朝鮮軍の中で最も貧弱で、複数のイージス艦や新鋭潜水艦を装備する韓国では「北の海軍など存在しないも同然」とさえ言われてきたほどだから、無理もなかったかもしれない。

しかし最近では、金正恩氏の海軍に対する姿勢にも変化が見える。新型の水上戦闘艦艇を建造して巡航ミサイルの試射をさせたり、水中核ドローンを開発したりと戦力強化に力を入れているのだ。

核兵器の発射手段を多様化して米韓軍への対抗力を強化しようということかもしれないが、海軍の士気の低さが「弱点」になっては困るとの判断があるのかもしれない。

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実際、この日の祝賀演説では「現代戦で海軍は、相異なる打撃手段と、はては国家の核抑止力までも装備し、運用する総合的な戦力であり、海軍武力だけしっかり準備されても国の安全を守り抜くことができる。
海軍の役割の重要性、特にわが国家の地政学的特殊性からして、将来には陸・海・空軍が海・陸・空軍と呼ばれるべきだ」とまで述べて、海軍の役割を持ち上げた。

しかし、海軍の軍人たちは「あの日の屈辱」を忘れていないはずだ。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は2014年7月2日、金正恩第1書記(当時)が「朝鮮人民軍海軍指揮メンバーの水泳能力判定訓練を指導した」と伝えた。

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訓練には東海艦隊と西海艦隊の全指揮官が参加。海上で往復10キロの遠泳を行った。記事とともに配信された写真を見ると、指揮官らは全員が中高年である。金正恩氏の前に、水泳着姿の指揮官らが整列した様子は、まるで中高年の部下に対する「シゴキ」のように見える。

2013年~15年の時期は、金正恩氏が部下の公開処刑を乱発し、最も荒れていた時である。写真の指揮官らも見るからに委縮している。

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同通信によれば、金正恩氏は訓練に際し、「軍隊が戦いで勝つには指揮官からつわものになるべきだ」「肉体的能力が伴わなければ指揮官の資格がない」などと述べたという。

しかし海軍の指揮官ならば、水泳能力は若いときに証明済みだろう。彼らは頭脳を買われてその地位にあるはずで、新兵のような「水泳能力判定試験」が必要だとは思えない。このイベントはまず間違いなく、金正恩氏が軍人を自らの前で屈服させ、恐怖政治を強めるために行ったものであるはずだ。