人命救助した北朝鮮軍人、褒美の代わりに「殴る蹴るの暴行」

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北朝鮮では、梅雨前線の北上に伴い、大雨が降り続いている。北部の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)では、一部地域にゲリラ豪雨が降り、大きな被害が発生した。

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)のある兵士が、人々の生命と財産を守るため、救出に向かった。ところが、どういうわけか彼は処罰されてしまった。その経緯を、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

現地の情報筋によると、今月13日と14日、恵山市内の渭淵(ウィヨン)地区では4時間以上にわたってバケツを引っくり返したようなゲリラ豪雨が降った。現地に駐屯する朝鮮人民軍第8総局の兵士は、手癖が悪く、次々に民間人の家を遅い、略奪を繰り返している。そのことから「馬賊」などと呼ばれ、鼻つまみ者扱いされている。

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ところが、この大雨の中、第8総局の複数の兵士が、住民の救出に動いた。それを見た地元住民は、非常に感動しているという。

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別の情報筋によると、救出に乗り出したのは第8総局原油保管所警備小隊第2分隊の分隊長とその部下ら6人。彼らは歩哨勤務が終わり、食べ物を探して部隊を抜け出したが、あまりの雨のひどさに旧収買所の建物で雨宿りをしていた。

そんな彼らの目に飛び込んできたのは、谷筋に沿って住宅地の方に押し寄せてくる土石流だった。彼らはすぐさま飛び出して、住民に危険を知らせた上で避難させ、彼らが飼っていた山羊3頭も助け出した。その過程で、兵士2人が腕と足に大怪我を負った。

救出活動を立派にやり遂げた彼らだったが、道が冠水していたため、部隊に戻ることができなかった。ようやく戻れたのは水位が下がった後の15日明け方になってから。分隊長と副分隊長は、指揮官から褒められるどころか、部隊を無断で離脱し、決められた時間までに帰ってこなかったとボコボコに殴られた。そして、恵山鋼鉄工場のそばにある第8総局本部の保衛小隊に勾留されてしまった。

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「正直者が馬鹿を見る」とはこのことだ。

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この理不尽な話は、恵山市民の間にあっという間に広がり、軍の対応を疑問視する声が上がっている。

そもそも、兵士たちが民間人の家を襲うのは、配給が極めて貧弱で常に腹をすかせているからだ。そんな彼らが、民間人の救出に当たるという善行を働いたというのに、「規定の時間までに戻れなかったとの理由だけで処罰の対象とされるのなら、一体誰が人民のために命を捧げようか」と、市民からは軍を批判する声が上がっている。

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北朝鮮軍の賞罰の基準は、民間人の感覚と大きくかけ離れている。例えば、生活のために国境を無断で越えようとした人を射殺した兵士が、報奨を受け取っている。この荒っぽいやり方に、地域住民はすっかり怯えてしまった。普段から「軍民関係」――軍人と民間人の良好な関係を保つことの重要性を説いている軍当局だが、やっていることは全く逆なのだ。

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