「徴用工判決は反日種族主義だ」韓国の“次期閣僚”が繰り出す次の一手

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韓国大統領府は29日、尹錫悦大統領が対北朝鮮の窓口となる統一相の次期候補に金暎浩(キム・ヨンホ)誠信女子大教授を指名したと明らかにした。

金暎浩氏は韓国国内で保守派の論客として知られるが、より直截に「右翼」と評する声も少なくない。日本では右翼に対し、「民族派」といった性格付けが一部でなされるが、韓国ではどちらかというと、北朝鮮との統一を熱望する左派の方が「民族派」と言えるかもしれない。

一方で韓国の「右翼」は、社会主義を名乗る北朝鮮に対して非妥協的であることと、米国との同盟重視が特徴だ。また親米の延長線上でか、左翼による反日運動への嫌悪感も強い。

実際、金暎浩氏は2019年7月の会合で、「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)」の訴訟で日本企業の賠償責任を確定させた韓国大法院(最高裁)判決(2018年)を批判し、「反日種族主義的な考え方にとらわれている。これは正常な教育、法律の教育を受けた裁判官たちが、(世界)10位圏の経済力を誇る大韓民国の裁判官たちが書いたとは思えない判決文だ」などと語っている。

また同氏は、北朝鮮の金正恩体制に対してもきわめて強硬な発言を続けてきた。特に、北朝鮮の人権蹂躙についても強く批判してきたことで知られる。

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金正恩総書記は、人権問題で圧迫されることを何よりも嫌う。

祖父や父と同様、金正恩氏もまた、残忍な恐怖政治を主導してきた。「韓流ドラマを密かに見た」といった、罪とも言えない罪で公開処刑を繰り返してきたことは、すでに様々な証言や状況証拠から明らかだ。

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人権侵害の例はほかにも枚挙にいとまがないが、そうした行いにより、今や国際社会から「人道に対する罪」を問われつつある金正恩氏が、「フツーの国家指導者」として欧米や日本から認められる余地はもはやない。本人もそのことはよくわかっているはずだ。この絶望感が核・ミサイル開発に突っ走った一つのきっかけだと筆者は見る。

そして、核問題と違って人権問題は取り引きできない。北朝鮮が本当に核兵器を放棄すれば、たとえば韓国や中国は何らかの対価を差し出すかもしれない。核放棄を条件に、米国がある種の取り引きに乗る可能性もある。しかし、すでに行ってしまった人権侵害、犯してしまった虐殺の事実は消すことができない。金正恩氏は、いつまでも「人道に対する罪」を問われ続ける可能性が高いのだ。

金暎浩氏は今後、現役の閣僚として言動は抑え気味になる可能性はあるものの、政策を通じて北朝鮮の人権問題を突いていくだろう。それに金正恩氏がどう反応するか。場合によっては、朝鮮半島の緊張状態が高まる展開もあり得るだろう。