金正恩の首を絞める「高校生を公開処刑」

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ロシアのウラジオストクに派遣されていた北朝鮮外交官の妻子が消息を絶った件をめぐり、脱北して韓国への亡命を試みているとの見方が強まっている。

妻は先に本国に帰任した夫に代わり、現地の北朝鮮レストランを管理していたが、この店では昨年末、副支配人が亡命を試みて失敗する事件があった。韓国紙・中央日報など韓国メディアは識者の分析も交えながら、妻が本国に帰った後の処罰を恐れ、また15歳の息子までが処刑される可能性を考えて、脱北に踏み切ったのではないかとしている。

北朝鮮当局が、現地レストランの管理責任を10代の少年にまで問うかはわからないが、海外生活になじんだ若者が帰国後に何らかのトラブルに巻き込まれる可能性は十分にある。

北朝鮮当局は、海外文化の流入を防ぐため「反動思想文化排撃法」を制定して取り締まりに当たっており、その最高刑は死刑だ。すでに、同法に従って高校生への死刑が執行されたとの報道も出ている。

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米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市では昨年10月、韓流ドラマや映画などを視聴し、拡散させたとして摘発された高校生ら3人が見せしめのため公開処刑されたという。

処刑された3人のうち、2人は韓流コンテンツやアダルトビデオを流布したとして摘発された。もうひとりは継母を殺害したとして逮捕されていたという。

この件についてはまだ、RFA以外に独自に情報をつかんだ媒体はないように見える。検証の余地が残るということだ。しかし、わが子の将来を案じる北朝鮮外交官とその家族は、こうした情報を目にしただけで相当な恐怖を感じたはずだ。彼らの多くは、公開処刑を実際に見たことがあったり、あるいは少なくとも直接見た人から話を聞いたりしたことがあるはずだからだ。

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実際、デイリーNKジャパンがこれまでに接触した脱北外交官のほとんどは、「子どもの将来の不安」を脱北理由として挙げていた。

世界最悪の監視国家で生まれ育った北朝鮮の人々は、かなりの用心深さを身につけている。それでも韓流コンテンツを隠れて視聴することを我慢できず、それが露見し、重罰を下されているのだ。

海外生活で、国内では考えられないような自由を味わいながら育った若者が、帰国後に致命的なミスを犯してしまうリスクはものすごく高いと言えよう。

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しかし、ということはつまり、韓流を駆逐するために金正恩総書記が始めた極端に残忍な政策が、貴重な外交人材を失うことにつながっていると見ることもできる。結局、恐怖政治は国を弱めこそすれ、強くすることはないのだ。金正恩は、自分で自分の首を絞める結果しか得られないだろう。