数百人が息を飲んだ、金正恩「女性社長」処刑の生々しい場面

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中国との国境に接する北朝鮮の両江道(リャンガンド)は、中国との貿易や密輸で地域経済が成り立っていた。ところが、北朝鮮政府は2020年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために国境を封鎖、いっさいの貿易を停止させ、国境警備を今まで以上に強化した。

これにより地域は極度の不況に陥り、モノ不足と食糧不足が深刻化。しばしば出される封鎖令(ロックダウン)と相まって、一部地域では人口の1割近い餓死者を出すほどの状況となった。

この状況の打開に最も求められるのは国境が再び開き、貿易が再びできるようになることだ。地域では昨年来、たびたび貿易再開の噂が流れ、地域住民がぬか喜びさせられることが何度も繰り返されている。現地ではこの5月にも、国境が開かれるとの情報がまたもや流れている。

北朝鮮当局としても、遅かれ早かれ貿易を正常化させるだろう。そうしないことには、国家の経済を維持できるはずもない。

しかし当局は、以前のように地方の貿易会社や個人がてんでバラバラに貿易する体制ではなく、国が貿易を牛耳る「国家唯一貿易体制」を打ち立てようとしている。それを考えると、仮に国境が開かれても、以前のように密輸を行えるかは未知数だ。

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北朝鮮は、コロナ防疫体制下での密輸を、体制を危険にさらす「反逆行為」と見なし、厳しく取り締まってきた。昨年初めには、中国・丹東駐在の貿易関係者ら数百人を一堂に集めた思想教育で、2021年に密輸容疑で処刑された人々の名前を列挙し、その場を凍りつかせた。

平壌に近い西海岸の南浦(ナムポ)で密輸を行い、逮捕された女性社長は高射銃で銃殺され、遺体が粉々になり跡形もなく吹き飛ばされたという。当局は、その生々しい場面をいちいち詳しく明らかにしたとのことだ。

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高射銃とは、14.5ミリ口径の重機関銃を数丁束ねた対空兵器だ。これほどの大口径火器は通常、ヘリコプターや軽車両への攻撃に使うものだが、北朝鮮では金正恩体制になって以降、人々の恐怖心を高めるため、公開処刑でしばしば使われている。その様子をわざわざ海外の駐在員に語って聞かせるというのも、金正恩総書記ならではのやり方と言えるだろう。

防疫規則違反がここまで厳しく罰せられたのは、ひとえに、金正恩氏自身がこの政策の総指揮官だったからだ。

そして、現在推進されている「国家唯一貿易体制」もまた、金正恩氏の肝いりであるに違いない。今後、中朝国境で密輸を営むには、従来とは異なる次元のリスクを伴うことになりそうだ。