「日本のトマホーク導入、危険ライン越えた」それでも動けぬ金正恩

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北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、核戦力の強化は、日米・米韓同盟の軍事力増強に対抗するものだとして正当化する、外務省軍縮・平和研究所の研究者ク・ヨンチョル氏の論評を配信した。

ク氏は論評で「今、米国は、われわれを狙った『拡大抑止力提供』をうんぬんし、南朝鮮地域に原子力潜水艦と戦略爆撃機をはじめとする核戦略打撃手段を頻繁に展開する一方、南朝鮮、日本と共に『拡大抑止手段運用演習』、ミサイル防衛訓練のような侵略的性格が明白な各種名目の戦争演習を行っている」として、米韓および日米の同盟強化に対する警戒感を露わにした。

また、「南朝鮮の『高威力弾道ミサイル』の開発・導入、軍事偵察衛星の発射と原潜保有企図、『敵基地攻撃能力』確保を公式化した日本の『トマホーク』巡航ミサイルの導入と極超音速ミサイル開発策動は、米国とその追随勢力の軍備増強の動きが許容できない危険ラインを越えている」と非難している。

行動伴わぬ「脅し」

北朝鮮は最近、米韓の「拡大抑止」強化や日本の「反撃(敵基地攻撃)能力」獲得の方針に敏感に反応しつつ、米国の出方次第では「太平洋を射撃場にする」などと威嚇している。

太平洋を射撃場にするというのは、日本列島上空を飛び越える形での弾道ミサイル発射を示唆したものだと解釈されている。これを北朝鮮が強行すれば、北東アジアの安保情勢が一気に緊張するのは間違いない。

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北朝鮮は2017年8月にも、米領グアム島の軍事基地を弾道ミサイルで包囲射撃する作戦を計画しているとする声明を発表したことがある。

声明を発表した朝鮮人民軍戦略軍は、「アンダーセン空軍基地を含むグアムの主要軍事基地を制圧、けん制し、米国に厳重な注意信号を送るために、中・長距離戦略弾道ロケット『火星12』型でグアム周辺に対する包囲射撃を断行するための作戦方案を慎重に検討している」としながら、「金正恩同志が決断を下せば任意の時刻に同時多発的に、連発的に実行される」などとしていた。

このときは、翌年から北朝鮮とトランプ政権との対話が急速に進展したこともあり、グアムに対する包囲射撃は実行されなかった。もっとも、対話の進展がなくとも、米国の激烈な反応を招くのが確実なこの作戦を、金正恩総書記が実行したかは疑わしい。

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一方、単に弾道ミサイルに日本列島を越えさせるだけであれば、グアム包囲射撃よりハードルは低いだろう。しかし、北朝鮮が最近発表する談話や論評を見る限り、日本列島越えの実行に走る「勢い」はあまり感じられない。可能性としては、高く見て五分五分といったところだろうか。

その理由はやはり、最近になって国際的にも認識が共有されてきた北朝鮮の食糧難の深刻化だと思われる。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

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行動を伴わない「脅し」はむしろ、北朝鮮の窮状を表しているように思える。