「乱れきった国にサヨナラ」脱北女性が目撃したモラル崩壊の極致

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覚せい剤やアヘンなど違法薬物の乱用と韓流コンテンツ視聴に対する北朝鮮当局の厳しい取り締まりにもかかわらず、こうした行為は減っていないという。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は韓国デイリーNKに対し、「薬物犯罪と不純映像を取り締まるための法も制定され、党や勤労団体で思想教養も強化しているが、違法薬物の流通と不純映像の視聴は減っていない」と現地の実情を伝えた。

情報筋によると、北朝鮮では居住地域や所属階層、性別、年齢、所得水準に関係なく違法薬物類に容易にアクセスできる。これに対して北朝鮮当局は、関連法を強化して密売と乱用を根絶するため大々的な取り締まりを繰り広げている。

時には、公開処刑などの厳罰がくだされることさえある。

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だが情報筋は、「昨年12月と今年1月に合わせて12人が違法薬物を密売した容疑で摘発された」としながら、「摘発され制裁を受けた人数だけでこれだけいるのだから、ワイロを渡して釈放されたりバレなかったりした人ははるかに多い」と説明した。

過去3年間、新型コロナウイルスの流入を防ぐとして国境を閉ざしていた北朝鮮では、医薬品不足もあり、アヘンや「氷毒(ピンドゥ)」と呼ばれる覚せい剤が薬の代用品になると勘違いした人々の乱用も増えたとされる。

そういったことからも、北朝鮮における薬物のまん延が、いかに深刻化がわかるだろう。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は数年前、次のように語っていた。

「住民たちは、覚せい剤を『風邪予防の万能薬』ぐらいに考え、『覚せい剤の煙にあたれば1年間は風邪をひかない』という俗説がはびこっている。

また、『脳卒中と心血管系疾患に効果が優れた効果がある』と思っている人や、『春と秋には、子どもたちに覚せい剤の煙を当たらせれば、インフルエンザの予防接種の代わりになる』と思っている人もいる。

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中学生も覚せい剤をやらなければいじめられ、主婦は人民班(町内会)の会議の前にキメてくる。保安員(警察)も夜勤の際にやっている。以前は挨拶代わりにタバコを差し出すのが習慣だったが、最近では顔を合わせると覚せい剤をやるようになった」

また、日本に在住する脱北者のAさん(40代の女性)は、北朝鮮を離れる決断したきっかけについて、こう語った。

「隣家の10代の学生が覚せい剤中毒になって大変な騒ぎとなった。それをきっかけに薬物について独自で調べたところ、あまりにも薬物が蔓延する乱れ切った実情を見て、この国(北朝鮮)はもうオシマイだと思い、脱北を決意した」(Aさん)

北朝鮮ではコロナ鎖国下の2021年7月、日本の国会にあたる最高人民会議第14期第15回全員会議で、新たに麻薬犯罪防止法を制定。違法薬物撲滅の意志を改めて示した。しかしその後、状況に大きな変化が表れたとの情報は伝えられていない。