「お尻ダンス」と性上納…金正恩“乱れた大学生活”にメス

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よほどのことでない限り、全てはカネとコネの力で解決できるのが北朝鮮だ。高等教育機関とて例外ではない。

試験問題はブローカーから購入。入試前には、担当者にワイロを掴ませる。無事入学を済ませても、期末試験、論文審査などありとあらゆる機会に教授や大学関係者からワイロを求められる。

北朝鮮の学生にとって、教授や大学内の朝鮮労働党委員会の幹部は絶大な権力者だ。女子学生が「性上納」を求められるケースもある。黄海北道(ファンヘブクト)のある大学では党委員会の書記だった50代の男性が、数十人の女子学生を毒牙にかけていた。男性は告発され、公開裁判で「見せしめの刑」にされた。

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また同様の状況から、200人もの女子大生が売春に追いやられていた事件では、金正恩総書記が激怒。首謀者を処刑させたうえで、教育部門に綱紀粛正を厳命している。

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それでもなお、似たような状況はいくらでもあり、他の地方当局も実態把握に乗り出している。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

朝鮮労働党両江道委員会(道党)は、神聖なる大学を汚す非社会主義行為として、教授が学生に対して「税金外の負担」、つまりワイロを要求しているとして、今月から了解事業(実態調査)に乗り出した。

道党のイルクンは、各大学の学部にある朝鮮労働党の細胞(末端組織)の書記、小隊長(級長)、一般の学生を個別に党の事務室に呼び出して面談を行っている。

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そこでは、クラスの担当教授や専門科目の教授に新年にいくら渡したのか、細胞書記や小隊長から圧力はかけられなかったかなどを調査している。また、昨年に毎月いくらを教授に渡していたのかも調査し、無記名で紙に書かせている。

道党は、3月に卒業を控えた学生たちが、カネを集めて教授にテレビや冷蔵庫など高価な品物を贈ろうとする動きがあることを察知し、事前に阻止、摘発すると警告している。

昨年、金正淑(キムジョンスク)師範大学の各小隊長が、学生からカネを集めて5000北朝鮮ウォン(約80円)紙幣で札束を作り、教授に渡していたことが発覚したが、今年も同じようなことが起きれば大々的な政治問題にするとしている。

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道党は、感謝の印として、教授を食事に招待する程度は構わないとしつつも、超高級品で富の象徴扱いされている温室でできたピーマンをプレゼントとして渡し「お尻ダンス(お尻を左右に振るダンス)」を披露することは、到底看過できないともしている。ちなみにこのダンスは、北朝鮮ではご禁制の韓流の影響を受けたものと思われる。

(参考記事:金正恩「ダンス講師」を見せしめ処刑…思想の緩み警戒

そもそも、なぜ教授が学生に「税金外の負担」を強いるのか。答えは単純。月給だけでは生活できないからだ。一般的な労働者の月給3000北朝鮮ウォン(約48円)よりは多いものの、一般的な4人家族の1ヶ月の生活費は50万北朝鮮ウォン(約8000円)。月給だけで生活できないことには変わりない。

最も手っ取り早いのが、その地位を利用して、学生やその親からカネを巻き上げることなのだ。1980年代以前のように食糧や生活必需品の配給を正常化するか、給料を物価に合わせて大幅に上げるかしなければ、いくら取り締まったところで、大学での「税金外の負担」が消えることはない。

(参考記事:「生活が苦しくて」北朝鮮の大学教授、違法な送金ブローカー業で摘発