北朝鮮の若者の間で急増する「結婚せず子どもも産まずに同棲」

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北朝鮮の家族法は、9条で18歳以上の男性、17歳以上の女性は結婚できると定めている。しかし、「国家は青年たちが祖国と人民のために、社会と集団のためにやりがいを感じながら働いた後に結婚する社会的気風を奨励する」との但し書きがある。

また11条では、「結婚は身分登録機関に登録をしてこそ法的に認められ、国家の保護を受ける。結婚登録をせずに夫婦生活はできない」とも定めている。

男性の場合、高級中学校(高校)卒業後、7〜8年の兵役を終えれば20代後半となる。その後の結婚が望ましく、早婚は望ましいものとされない。さらに、同棲は非社会主義現象(社会主義にそぐわない風紀の乱れ)として、取り締まりの対象にすらなる。しかし、実際は同棲を選択する男女カップルが増えていると、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

結婚せず同棲するケースは、全国有数の卸売市場がある、首都・平壌郊外の平城(ピョンソン)をはじめとした大都市を中心に全国的に広がっている。その理由として、まず情報筋が挙げたのが、女性の経済的負担だ。

男性は、国から決められた工場や企業所、機関などの職場に出勤する義務がある一方で、女性は必ずしも職場に通う必要はない。男性は「子どもの小遣い銭」ほどの月給しか受け取れない一方で、市場で商売して現金収入を得る女性が一家の生計を支えることになる。

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結婚せずに独り暮らし、または同棲して財布を別々に管理し、子どもを産まなければ、女性の可処分所得が減らずに済むことになる。

(参考記事:「男たちは役立たず」財布のヒモを握った北朝鮮女性たちの逆襲

同棲に踏み切る理由としては、婚前交渉による妊娠もあるのだが、単に結婚前に性格が合うかどうか一度一緒に暮らして見ようという考えを持つ人が多く、「できちゃった同棲」というケースは少ないとのことだ。福祉システムが崩壊し、表向きは「無償」とされている教育にも多額の費用がかかる上に、食糧難の中で食べ物を確保しなければならず、子どもを産み育てるのは極めて負担が大きい。

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さらに、国は離婚を好ましからざる現象と見ており、手続きのハードルを上げたり、離婚を申し立てた人を処罰したりするなど、是が非でも離婚をやめさせようとする。それが逆に、結婚を避けようとする風潮を生み出してしまっている。

(参考記事:「思想教育で離婚を撲滅せよ」という北朝鮮の的はずれな政策

当局は同棲を問題視し、人民班(町内会)や地域担当の安全員(警察官)、保衛員(秘密警察)に指示して、住民登録をしていない者が勝手に住んでいないかをチェックし、発覚した場合、3ヶ月から6ヶ月の労働鍛錬刑(短期の懲役刑)処分を下している。

しかし、人民班長(町内会長)に話して、口止め料としていくらかの現金を渡せば、大抵の場合は見逃してくれるとのことだ。

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かつて同棲するのは、20代後半になってからだったのが、最近では20代前半で同棲を始める若者も増えている。ただ、兵役を終えたばかりの若者に先立つものはなく、結局は親のすねをかじることになる。

物資や食糧の不足が深刻化する中、ある程度経済的に余裕がなければ、同棲に踏み切るのも難しいのだ。

(参考記事:北朝鮮でも深刻な若者の晩婚化と非婚化、そして少子化