北朝鮮「せめて風呂に入れて」ある女性兵士の叫び

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北朝鮮の金正恩総書記の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は20日、北朝鮮が前日に公開した衛星写真に対して韓国の専門家が「粗悪な水準」と評価したことに食って掛かり、自国の技術開発の進展を誇る談話を発表した。

米国などの専門家からも、いずれ北朝鮮の技術力が上がると見て「侮るべきではない」とする意見が出ている。

ただ、北朝鮮は偵察衛星や弾道ミサイルの開発に大金をつぎ込む一方で、末端兵士たちが劣悪な生活環境に苦しみ、軍全体での力を落としている事実もある。

両江道(リャンガンド)の軍関連情報筋はRFAに対し、「一線の軍部隊から虚弱者(栄養失調者)が継続的に出ており、幹部の悩みが深い」とし、「特に冬季になると栄養失調で虚弱になった兵士たちが続出しており、総参謀部が対策を立てるよう強調しているが、供給が不足している状況下で問題解決の妙案が出てくるはずがない」と語っている。

情報筋はまた、「特に軍部隊が集中している江原道(カンウォンド)の場合、兵舎が不足して臨時に半土窟(地面に掘った穴)で兵士に寝起きさせているため、兵士たちは空腹と寒さに震えている」と話した。

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さらに、「2017年以降、軍関連の会議があるたびに最高司令官(金正恩総書記)が江原道地域の軍部隊に対する支援を強化し、少ない量であっても魚のおかずを毎日出すよう指示したが、実際には同地域の兵士たちの食事は改善されていない。むしろ金正恩の指示が出された当時より、後方物資の供給量はさらに減っている」と述べている。

北朝鮮軍が極度の供給不足に陥っており、飢えに苦しむ兵士が多いのはかねて知られていたが、兵舎すらなく穴倉で寝起きしているとは末期症状と言える。

また、飢えだけでなく不衛生も北朝鮮軍の「大敵」だ。

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この情報筋によれば、「兵舎がないのだから、入浴施設も整っていない。害虫などのために皮膚病に苦しむ兵士が続出しているが、部隊幹部は解決策を示すことができず手をこまねいているだけだ」という。

デイリーNKジャパン編集部がかつて取材した元女性兵士も、飢えと寒さに苦しむ中で「せめて熱い風呂に入りたいというのがずっと夢だった」と語っていた。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

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一方、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のある住民はRFAに対し、こんなエピソードを明かしている。

「同じ村に住む住民の中に、今年、軍に入隊し江原道地域の部隊に配置された息子を持つ夫婦がいるのだが、息子は体が虚弱で病気(結核)にかかり、治療を受けるために9月末に一時帰宅した。12月に冬季訓練が始まると軍官(将校)が息子を迎えに来た軍官に、両親は息子を再び軍隊に送ることわけにはいかないと言い張ったが、息子に兵役忌避の烙印が押され処罰されると言われ、仕方なく帰隊させた」

ただでさえ過酷な軍での生活に、健康に問題を抱える息子を戻せば命すら落としかねない。両親の心労はいかばかりだろうか。