「幻滅しか感じない」金正恩式の説教に若者たちは冷淡な反応

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若者の教育に頭を痛めているのは世界どの国でも同じだろうが、北朝鮮の場合は、切実さが異なる。同じ民族ながらかつて戦火を交え、今でも戦争(休戦)状態にある不倶戴天の敵、韓国が若者の憧れの国になってしまっているからだ。

ドラマ、バラエティ、映画、K-POPなど、質の高い韓流コンテンツが、北朝鮮へ次から次へと流れ込み、様々な形で北朝鮮の文化に変容をもたらしている。

当局は「反動思想文化排撃法」「青少年教養保障法」などを制定し、重罰による取り締まりや思想教育を強化しているものの、一向に効果は表れないようだ。

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平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋が、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、若者たちの間で非社会主義現象がなくならないことを革命(北朝鮮の体制)と関連した深刻な問題とみなし、これを徹底的になくすための対策を立てよとの指示が、11月21日に中央から下された。

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これに基づき、中央の社会主義愛国青年同盟が平安北道にやってきて、各種学校の生徒、学生を対象にした非社会主義行為に関する集中検閲(検査)を行っている。その結果、新義州(シニジュ)市内の高級中学校(高校)と大学で、次のような現象が摘発された。

○革命歌謡を南朝鮮(韓国)風に歌う
○生徒同士の乱闘
○迷信(占いや宗教)
○覚せい剤の使用

(参考記事:金正恩が忌み嫌う「禁断の替え歌」を一斉取り締まり

当局は思想教育の強化で対応している。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、清津(チョンジン)市の青年同盟が11月16日から3日間、講演会を開いたと伝えた。タイトルは「資本主義への幻想は死のみ」。

壇上の青年同盟のイルクン(幹部)は、「資本主義に対する幻想は若者の思想と精神を腐らせる」「東欧各国が崩壊した原因も、資本主義遊び人風と黄色風(退廃的風潮)に染まった若者に原因がある」などと話した。

また、「敵どもの思想文化的浸透策動が今まで以上に悪辣になっている今、われわれ青年は南朝鮮映画やドラマなどの不純録画物を密かに見たり、流布させたりする行為は絶対にしてはならない」と強調した。

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反動思想文化排撃法と青少年教養保障法の制定から、約2年が経つ。この間に取り締まりや思想教育は強化されたものの、効果が出ていないため、改めて教育を行ったわけだ。RFAの情報筋は、今後毎週土曜日1時間ずつ教育を行うと伝えている。

(参考記事:「ウソだらけの教育などもういらない」北朝鮮国民が怒り

しかし、当の若者のリアクションは冷淡だ。

「寝ても覚めても教育を受けなければならず、疲れるし幻滅しか感じない」(清津の青年)

情報筋も、「流行に敏感な若者にいくら説教したところで、思想を変えるのは容易ではない」と懐疑的だ。

「他の国が羨ましくないほど豊かな国ならば、誰が資本主義への幻想など持とうか」
「若者が資本主義に幻想を持つ原因は、貧しい国で万歳を叫ぶことばかり強いる指導層にある」(情報筋)

RFAの咸鏡北道の情報筋は、2年間の取り締まり、教育強化で何一つ解決できておらず、若者の間では取り締まりを避ける方法がより巧妙になっており、いくら取り締まっても根絶は難しいと述べた。

(参考記事:金正恩も歯が立たない、北朝鮮「裏スマホアプリ」の実態