また、9月には脱北者団体の代表者に「毒針テロ」を企てた偽装スパイが逮捕されている。公安当局は、ここ数年間で脱北者に偽装したスパイが持続的に摘発された影響から脱北者の合同尋問期間を増やし、尋問を大幅に強化するなど、緊張を緩めていない。
偽装スパイは、身分を偽装するために出身地域を装って入国を試みるが、2万人以上の詳細なデータを保有した当局の調査を通過するのは容易ではないようだ。
北朝鮮当局がスパイを脱北者に偽装させる背景には、脱北者の入国ルートがリスクが低く、脱北者という身分で合法的に滞在と活動を行う事が可能で、脱北者社会への浸透も容易であるからだと情報当局は考えている。今回拘束されたキム氏も、故・黄を暗殺しようとした暗殺組の入国ルートと同じである。
また、偽装脱北者スパイを送る事で、韓国国内の脱北者社会の分裂を誘導する意図も隠れているとみられる。持続的に偽装スパイが摘発され、テロの脅威が続く中、脱北者社会では互いを疑う不信の念が生まれ始めている。