軍幹部の「やりたい放題」にもてあそばれる北朝鮮の兵士たち

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北朝鮮が最近、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)幹部らの組織生活評価を記録した「党生活記録資料」の保管年限を3倍(10年→30年)に延長する形で、軍部に対する統制強化に乗り出したとデイリーNKの内部情報筋が伝えている。

情報筋によると、軍総政治局は今月初め、このような内容を盛り込んだ指示を全軍に下達した。

性的虐待も横行

「党生活記録資料」は軍隊内の朝鮮労働党員、責任指揮官らの組織生活の実態と思想動向を盛り込んだ文書で、各軍組織部直属の「党生活指導課」という部署で管理しているという。

北朝鮮当局は今回の措置が、金正恩総書記の指導の下で7月2日から6日にかけて開かれた「各級党委員会組織部党生活指導部門活動家の特別講習会」で提示された方針に従うものだと強調しているという。

こうした措置は一義的には、軍の党に対する服従を強化するためのものだと解釈できる。ただ、それはこれまでも折に触れて行われてきたことだ。近い将来、北朝鮮の軍が党に反抗する事態が起きる可能性はほとんどない。

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北朝鮮当局が今改めて「党生活記録資料」の保管年限を延長したのは、様々な不正を働く軍幹部らに対し、党による「監視の目」を意識させることに目的があると見られる。

北朝鮮軍内では、幹部による物資の横領や横流し、女性兵士に対する性的虐待などが常態化しており、これまでは「やりたい放題」と言っても過言でない状態だった。末端兵士らはそのような横暴に人生をもてあそばれ、権力に対する絶望と怨念を募らせているとも伝えられている。

金正恩氏をはじめとする最高指導部としては、捨て置けない問題だろう。何故なら北朝鮮でも少子化の進行とともに兵役の人員充足が難しくなってきており、大事な一人息子や一人娘を守ろうとする、親たちによる兵役忌避も深刻化しているからだ。

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そうした背景もあってか、北朝鮮当局は最近、軍内の不正に容赦なくメスを入れるようになっている。数十人の女性兵士を毒牙にかけた第4軍団傘下の師団政治部長が最近、軍当局により逮捕されたのは本欄でも既報のとおりだ。

こうした問題では「党的処罰や降格で済まされるのが普通だったが、今回は多くの兵士の目前で、幹部の手に手錠がはめられて連行され、皆を驚かせた」と別の情報筋が語っている。

上述の通り、このような性暴力は常態化していたが、軍当局が事態の深刻さを認識し、幹部に警鐘を鳴らす目的で「見せしめ」として処罰したというのが、情報筋の説明だった。

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「党生活記録資料」の保管年限延長も、軍幹部に緊張感を与えることで、軍紀を立て直そうとするものなのかもしれない。ただ、軍幹部が横領などの不正に走るのは、そもそも薄給過ぎて生活できないという背景もあり、上部からの締め付けだけで状況が改善される見込みはなさそうだ。