ロシアが言及、北朝鮮軍「外貨稼ぎ部隊」ウクライナ投入の現実味

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韓国紙・中央日報の報道によると、ロシアのアレクサンドル・マツェゴラ駐北朝鮮大使は18日、ロシア国内メディアとのインタビューで「北朝鮮と共和国の協力の可能性は非常に幅広い」と話した。マツェゴラ氏が言及した「共和国」とはウクライナ東部で親ロシア派勢力が独立を宣言した「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」のことだ。北朝鮮は13日、ロシアとシリアに続き両地域を国家として承認した。

マツェゴラ氏は北朝鮮と両共和国との鉱工業製品や農産品の交換の有用性について説くとともに、「技術力が高く勤勉で、厳しい条件でも率先して働く北朝鮮の労働者は(両地域の)破壊されたインフラや施設を復旧するのに重要な支援軍になれる」と述べているという。

ロシア国内には多くの北朝鮮労働者が派遣されており、その一部は軍の外貨稼ぎ部隊に籍を置く現役の兵士だ。また、そのような兵士の派遣は中東に対しても行われてきた。本当に紛争地であるウクライナへ北朝鮮の労働者が派遣されるとしたら、民間で募集した人員よりも、兵士らが優先される可能性がある。

そうなれば、たとえ建設労働者としてであっても、北朝鮮がウクライナへ軍を送ることに変わりはない。また、北朝鮮から人員が送られる際、武器弾薬を密かに持ち込まないとも限らない。ちなみに北朝鮮は、ベトナム戦争と第4次中東戦争に空軍部隊を派兵した歴史がある。

(参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘

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そもそも、北朝鮮がいち早く両共和国を承認したこと自体にきな臭いものを感じる。北朝鮮以上にロシアとの結びつきの強いベラルーシやイランでさえ、まだ両共和国を承認してはいないのだ。

北朝鮮メディアは2014年のクリミア危機の当時から、ロシアの肩を持ち、ウクライナをナチと同一視するような論調で非難していた。だから、今回もロシアに肩入れすること自体は不思議でも何でもない。

しかし北朝鮮は、世界各地の紛争をどこか遠巻きに眺めているような態度を取るのが普通で、このような形で深く、素早くコミットするのは珍しいことだ。

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その裏には、ロシアの余力低下で国際社会に空いた「穴」を埋める役割を買って出ることで、何らかの対価を得ようとする金正恩総書記の思惑があるのではないか。金正恩氏が、最新の北朝鮮製弾道ミサイルをロシアに提供するとは思わないが、大量に備蓄があり今すぐ使う用事のない弾薬や対戦車ミサイル、携帯型対空ミサイルであれば、提供することは可能だろう。

経済制裁とコロナ鎖国でモノ不足に苦しむ北朝鮮は、それらの対価を外貨で払ってもらう必要もない。国際社会の対ロ制裁でだぶついたロシア産エネルギーや農産物との交換でも、大助かりなはずだ。

北朝鮮駐在歴の長いマツェゴラ氏が、北朝鮮側と何のコミュニケーションもなしにこうした発言をするとも思えない。ウクライナを巡る北朝鮮の動向は要注意だ。