「50日間の拷問の末に処刑」文在寅が金正恩に引き渡した2人の運命

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韓国統一省のチョ・ジュンフン報道官は11日のブリーフィングで、文在寅前政権が2019年に亡命を求めた脱北漁民2人を北朝鮮に強制送還した事件について、「(2人は)憲法上は大韓民国の国民であり、北朝鮮に引き渡した場合に受けるであろう様々な被害を考えるならば、明らかに間違った部分があった」との見解を示した。同省は当時、送還は適当としており、立場を180度翻したと言える。

当時の状況を振り返ってみよう。

漁民2人は同年11月2日に日本海上で拿捕(だほ)した北朝鮮のイカ釣り漁船の船員で、船内で16人の乗組員を殺害し、逃亡していたものと見られていた。韓国政府が北朝鮮側に2人の追放の意思を伝えたところ、北朝鮮側から引き取るとの返事があったという。

そして11月7日、韓国政府は2人を、南北の軍事境界線にある板門店(パンムンジョム)を通じて北朝鮮に追放する形で送還した。2人は韓国に亡命する意思を示していたとされ、追放は事実上の強制送還に当たる。

北朝鮮の内部情報筋が韓国デイリーNKに伝えたところによると、北朝鮮当局は男性2人の身柄を黄海北道(ファンヘブクト)の沙里院(サリウォン)にある国家保衛省傘下の施設で拘束。情報筋によれば「保衛省は50日間にわたり、拷問を伴う取り調べを行った後、2人を処刑した」という。

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統一省は当時、「(殺人は)重大な犯罪であり、韓国の国民の生命や安全の脅威となる。凶悪犯罪者として、国際法上の難民としても認められないと判断した」として、強制送還を正当化した。

これには韓国の国内外から厳しい批判の声が上がった。

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まず、2人に犯罪の容疑があったならば、十分に時間を割いて、真相を徹底的に究明するのが先決だった。しかし、韓国政府はわずか数日の調査で送還を決めた。

そもそも大韓民国の憲法や各種の法律には、同国に入国した北朝鮮国民を、本人の意思に反して強制的に送還できる規定はない。また、北朝鮮との間に犯罪人の引き渡しに関する取り決めもない。

それ以前に、朝鮮半島全体を自国の領土としている韓国の憲法によれば、北朝鮮は国家として認められておらず、北朝鮮国民は韓国の国民ということになる。それにもかかわらず、件の2人について適法な司法手続きも行わず、北朝鮮に引き渡してしまったというのは、憲法違反の疑いありということになる。

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この問題を巡っては、国家情報院が6日、漁民に対する合同調査を強制的に早期終了させた職権乱用などの疑いで徐薫(ソ・フン)元院長を検察に告発している。

問題の責任は、送還を阻止しなかった統一省に対しても問われるべきだが、より注目すべきは、青瓦台(大統領府)の関与だ。検察の捜査を通じ、仮に強制送還が大統領府、あるいは文在寅前大統領の主導下に行われていたことが明らかになるようなら、いっそう重大な政治問題に発展する可能性がある。