国境警備隊「壊滅」も…北朝鮮で別の感染症、金正恩氏が対策指示

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北朝鮮は、先月12日に国内で新型コロナウイルスの感染者が発生したと公式に認めて以降、国営メディアを通じて、毎日「有熱者」つまり、発熱患者の新規発生数を発表している。

「感染者」ではなく「有熱者」であるのは、首都・平壌市内の一部地域を除いてPCR検査が行われていないため、検査によるコロナ感染を正確に診断できないためと思われるが、その中には別の感染症の患者も多く含まれていると見られていた。

コロナ対策との関連は不明だが、国営の朝鮮中央通信は16日、黄海南道(ファンヘナムド)海州(ヘジュ)市で、急性腸内性伝染病の感染者が発生したことを報じている。

記事は具体的な病名には触れていないが、北朝鮮ではチフスなどの流行が頻繁に起きている。

中国との国境地帯では昨年6月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)鏡城(キョンソン)郡に駐屯する国境警備隊で発熱患者が急増し、壊滅状態に陥る事態が起きた。北朝鮮は中国からの新型コロナの流入を防ぐため、国境に近づく人に無差別で銃撃を加えるほど厳重な警備体制を敷いていたが、中隊が丸ごと離脱したことで、現地ではかなりの混乱が起きたようだ。

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デイリーNKの現地情報筋によれば、派遣された軍医が隊員の検温を行った上で、200人ほどの中隊全体に対して隔離措置を下したという。

このとき、軍医が発熱の理由として挙げたのは、パラチフスだった。パラチフス菌と腸チフス菌に汚染された水や食べ物により感染する感染症で、衛生環境の悪い途上国で多く発生しており、北朝鮮でもしばしば流行している。

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前述した朝鮮中央通信の記事では、金正恩総書記が自らの家庭で用意した薬品を現地に送ったと明らかにしたうえで、同氏が対策を事細かく指示したことを伝えた。また、朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、海州市に加え、近隣の康翎(カンリョン)郡でも感染症が発生したと報じ、初級党委員会や党細胞(末端組織)を通じて必要な薬品を送るように、金正恩氏が指示したと報じている。

国内での感染症の拡大が報じられるのは極めて異例のことだが、コロナ感染者に行ったとする手厚いサポートを別の感染症患者にも行ったと報じることで、「人民愛」「人民第一主義」をアピールする目論見があるものと考えられる。