金正恩の「ロシア絶対支持」に北朝鮮でも批判的空気

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北朝鮮当局が太陽節(4月15日の故金日成主席の生誕記念日)110周年をきっかけに、北朝鮮とロシアが偉大な親善関係を結んできたと主張する宣伝本を発表したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

国民の間で、ロシアのウクライナ侵略に反感が芽生えるのを防ぐ目的があるようだとの分析を、現地情報筋がRFAに伝えている。

平壌市のある幹部情報筋はRFAに対し、「今月8日から18日まで、平壌で行われた太陽節関連の祝祭展示場に、朝露親善を宣伝する冊子が展示された」とし、「今年4月に外国文出版社が発行したもので、『朝露親善の偉大な年代記』というタイトルの219ページからなる写真集だ」と説明した。

ただ、北朝鮮当局はこの写真集を、大々的に配布したわけではないようだ。情報筋によれば、写真集が展示されたのは平壌市内の3カ所のみ。本の数もごくわずかで、訪れた人々に電子資料で写真を見せる形式だったという。

中国やキューバ、非同盟諸国などと幅広く外交を行った金日成氏の足跡について、対ロ外交だけをクローズアップするというのも不自然だ。北朝鮮当局は、ロシアのウクライナ侵略が開始された後になって、この写真集を企画したものと見て間違いなさそうだ。

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金正恩体制はウクライナ侵略を巡り、ロシア支持を鮮明にしている。それだけに、友好国であるロシアの苦戦ぶりは体制にとって都合の悪い事実だ。またそれにも増して、ウクライナ国民の窮状と命がけの抵抗が、恐怖政治により自由を奪われてきた北朝鮮国民の心理にどのような影響を与えるか、当局は気にせずにいられないだろう。

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もちろん、北朝鮮当局は徹底した情報統制を行っており、多くの国民はウクライナのリアルな現実を知らないと思われる。それでも、情報の完全な遮断は不可能であり、北朝鮮国民も少しずつ、世界で何が起きているかを知ることになるはずだ。

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RFAの情報筋も、当局の指示で展示会場を訪れた市民らが「今なぜ突然、朝露親善なのか」といぶかっていたと証言している。

また、市民は職場や学校で参観を指示されたにも関わらず、展示会場は概ね閑散としていたとのことで、押し付けのプロパガンダにシラケた空気が漂っていた様がうかがえる。

海外の情勢を知る立場にあると思しき市民はRFAに対し、「やむを得ず展示会場を訪れた平壌市民もいたが、いくらロシアとの親善を強調してみても、ロシアのウクライナ侵略に対する人民の考えは変わらない」と述べ、すでに市民の一部は侵略の事実を知り、批判的な考えを持っていることを示唆した。