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最近、北朝鮮の主要都市で餓死者が発生するなど、北朝鮮の食料状況がかなり深刻な様相を呈している。コロナ鎖国により中国から食糧が輸入されないものはもちろん、肥料が入ってこなくなり、農業にも深刻なダメージが出ている。

(参考記事:「コロナより恐ろしい」金正恩に危機も、大都市で餓死者発生

今年1月中旬から北朝鮮と中国を結ぶ貨物列車の運行は再開されたものの、それを通じて入ってくる食糧は主に特権層への配給用で、一般庶民の口には入らない。

そんな中、デイリーNKは3人の北朝鮮国民とのインタビューに成功した。咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)のリさん(50代)、両江道(リャンガンド)普天(ポチョン)のパクさん(30代)、慈江道(チャガンド)(チャソン)のキムさん(40代)は、いずれもかつては密輸などで北朝鮮国内では比較的豊かな暮らしをしていた地域に在住しているが、今では状況が非常に厳しいと声を揃えた。

リさんの場合、複数の隣人が「食べるものを分けてくれ」と穀物を借りに来たが、それからしばらくして家の煙突から煙が出なくなったと証言した。つまり、餓死したということだ。

キムさんの場合、今年1月から3月の間に、地元の慈城で40人、隣接する和坪(ファピョン)で10人の餓死者が出たと証言した。これは公の機関が集計したもので、キムさんはそれを偶然耳にしたという。

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(参考記事:「4〜7割の世帯で食糧が尽きる寸前」金正恩の足もとで上がる悲鳴

パクさんの住む地域でも、状況は似通っている。

「昨年11月ごろから複数の村で姿を見せなくなる人が増えた」
「人民班(町内会)が行方不明の通報をしても、安全部(警察署)は発見に至らなかったが、山奥の洞窟で死んでいる家族が次々に発見された」(パクさん)

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このような状況下、当局はどのような対策を打ち出しているか。この問いに対し、3人が挙げたのは「自力更生」だ。

キムさんによると、ハーモニカ社宅(長屋)の場合、責任者を1人決めて、毎朝他の家の見回りをする。

パクさんも、同様の見回りが行われていると述べた。

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「先月中旬から、保衛部(秘密警察)と安全部が『毎朝、隣家の煙突から煙が出ているか確認し、出ていなければ扉を叩いて苦しい隣人を助けよう』という話をずっとしている」(パクさん)

このように、当局は餓死者対策を住民に丸投げして、食糧配給などの一切の措置を取っていない。

「人が死んだのに、お上(当局)からは何の話もない。人民班が遺体を山に運んで埋めた」(リさん)

安全部は、政治的な宣伝をするばかりで、実質的な対策は何も取らない。

「安全部は『首領様(金日成主席)誕生110周年に人が死ぬなんて』、『行方不明者や餓死者が出ないようにせよ』と強調している」(パクさん)

朝鮮労働党会寧市委員会や人民委員会(市役所)は、太陽節(金日成主席の生誕記念日)常務分課が市内を周り「飢えている世帯を把握せよ」「太陽節を迎えて不幸な死を迎えないようにすべき」と講演をするばかりだと、リさんは伝えた。

例年なら、麦の収穫が始まる初夏になれば、食糧事情はいくぶん落ち着くが、住民の間では「状況は改善しないだろう」と悲観的な話が聞かれるという。

「数日前に中江(チュンガン)である男性が餓死したが、『サバ1匹と北青(プクチョン)のリンゴ1つが食べられれば死んでも思い残すことはない』という遺書を残したことが、あっという間に住民の間に広がった」
「苦しい人々の間では、『子どもにトウモロコシ飯に味噌だけでも1日3食食べさせられれば、安心して死ねる』との話が交わされている」(キムさん)

一方、パクさんは、コチェビ(ストリート・チルドレン、ホームレス)が急増したことについて触れた。

「市場にあるころからコチェビが増え、糾察隊が全部追い出したのだが、今ではどこかに姿を消してしまった」
「国境封鎖だけで飽き足らず、密輸も禁止するから、『われわれにはもう先がない』と話す住民の声が大きくなりつつある」(パクさん)

(参考記事:「なんとか餓死を防ごう」食糧が底をつき始めた北朝鮮