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北朝鮮における障がい者の地位は、決して正当とは言いづらい。未だに「不具」という言葉で呼ばれ、一時首都・平壌から追放されていた。国際社会の厳しい監視から2010年代からは、障害者をケアしているというアピールを行うようになったが、今でも待遇がひどいことには変わりない。

(参考記事:障がい者の「強制隔離」を実行した北朝鮮…抹殺も検討

北部の両江道(リャンガンド)では、病気で障がいを負った男性が、韓国からの送金を受け取ったという理由だけで逮捕され、刑務所送りになった。

現地のデイリーNK内部情報筋によると、この男性は恵山(ヘサン)市在住のキムさん(60代)。

キムさんは2年前に妻に先立たれ、一人暮らしをしていたが、昨年1月に脳卒中で半身不随となり、言語と歩行に障がいがあった。それを知った韓国在住の娘は昨年9月、治療費と生活費として300万ウォン(約302万円)を送金した。また、顔が見たいという娘の要望に応じて、キムさんは送金ブローカーの家まで行き、中国キャリアの携帯電話で映像通話を行った。

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保衛部(秘密警察)は、キムさんの娘が韓国に住んでいることを察知しており、彼を監視対象としていたが、仕事ができないはずの彼が、親戚に頼んで食べ物を購入するなどカネを使っていることを知り、調査を行っていた。

キムさんを担当する保衛員は隔日で家を訪ねてきて、娘と連絡を取っているか問いただしたが、キムさんは否定し続けたため、保衛部は指導員1人に家宅捜索をさせた。

キムさんは結局、「知らない人が訪ねてきて、娘が送ってきたカネだとして8000元を渡された」と自白した。10日間の取り調べを経て、労働鍛錬刑(懲役刑)6ヶ月の判決を受けた。歩行が不自由なキムさんが、労働を強いられる労働鍛錬隊に入れられ、生きて出所できる可能性は低いだろう。

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この話は市民の間にまたたく間に広がった。市民らはキムさんに同情を示すと同時に、保衛部のやり方を口々に非難している。

「娘が送ってきたカネを受け取ったという容疑で、カネを奪って半身不随の患者を労働鍛錬隊送りにするなんて呆れる」(市民の声)

本来は保護を受けるべき障がいを持つキムさんに、過酷な処罰を下したのは、どんな人でも国外と連絡を取れば処罰を受けると見せしめにする意味合いがあると情報筋は説明した。

(参考記事:北朝鮮軍が「飢えた障害者」を射殺…「それでも人民の軍隊か」国民激怒