金正恩氏の訪問先で銃器乱射…警備の兵士を拘束、当局緊張

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北朝鮮の金正恩総書記が訪問した地域で、訪問当日に銃器乱射事件が発生し、地元当局が緊張状態に置かれたと、デイリーNKの現地情報筋が伝えた。

金正恩氏は今月18日、咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸州(ハムジュ)郡の蓮浦(リョンポ)地区で行われた温室農場の着工式に参加した。

これに先立ち16日、朝鮮労働党の道委員会は軍事委員会拡大会議を開き、特別警備のため、17日午前0時から19日午前0時までの48時間、道内全域を封鎖すると決定。道路や鉄道の交通が統制されたのはもちろん、携帯電話や有線電話の通信までが遮断されたという。

情報筋によれば、金正恩氏が参加する「1号行事」が開かれる場合、普通は市や郡単位で封鎖されるのだが、道全体が対象になったのは珍しいという。

そうまでして厳しい警備体制を敷いたのに、地域内でとんでもない事件が発生した。咸州郡と隣接した定平(チョンピョン)郡にある新上(シンサン)駅の哨所(見張り所)で、軍保衛小隊に所属する副哨所長が、マガジン1個分(銃弾30発)を乱射して哨所長を射殺したのだ。情報筋は動機について言及していないが、何らかの虐待があったものと思われる。

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副哨所長は拘束され調査を受けているとされるが、銃殺は免れないだろう。

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事件を受けて、道の党委員会は上を下への大騒ぎになった。同日夜に緊急招集された党委員会の会議で、リ・ジョンナム責任書記は担当者らを厳しく叱責。翌19日午前、事件の報告書とともに自身を含む道党軍事委員らの自己批判書を中央党(党中央委員会)に提出した。金正恩の側近のひとりとされるリ・ジョンナム氏は、中央党の組織指導部副部長出身だとされる。

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自己批判書でリ・ジョンナム氏ら幹部たちは、今回の失態について連帯して責任を取り、どのような処罰も甘んじて受けること、党員証の返納も辞さない覚悟であること、そして「10月10日までに温室農場を完成させよ」とした金正恩氏の命令遂行に命をかけることなどを誓ったという。

こうした内容が金正恩氏に気に入られたのか、道党委員会にはこれといった処罰はなく、中央党からは「成果をもって報いよ」と伝えられただけだったとのことだ。ただ、部隊の管理責任を問われた軍幹部らはそうはいかなかった。道内に駐屯する第7軍団の保衛部長と保衛部政治部長が解任され、兵士の食糧を生産する軍団傘下の副業農場に送られたとのことだ。