「大声でわめくだけ、何の策もない」金正恩の統制に商人ら反発

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先月16日に2年ぶりに運行を再開した、北朝鮮と中国を結ぶ貨物列車。様々な物資が運び込まれていると思われるが、当局はそれらを市場統制の「エサ」に使おうとしているようだ。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、中央と内閣が、市場が安定して物価がよく管理されている地域に対して、中国からの物資を供給するとする内容の共同指示文を下したと伝えた。朝鮮労働党咸鏡北道委員会と咸鏡北道人民委員会(道庁)は14日、この指示を道内の市や郡に伝えた。

指示文には、コロナ禍の長期化に伴い、貿易は党主導で行い、すべての貿易は国の統制に従って行われるため、国が各道の商業を掌握するとの内容が書かれていたとのことだ。また、各道の商業部の実態を把握した後に、物資を供給するか否かを決定し、このような方法を使ってこそ、国内の物価が安定し、住民の苦しい生活も改善できるとしている。

咸鏡北道は中国、ロシアとの国境に接しているが、大規模な防疫場(貨物消毒場)がなく、結局、平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)を通じて中国からの物資を取り寄せるしかない状況だ。

今回の指示文を受け、朝鮮労働党咸鏡北道委員会は、道内の市場、国営商店、個人商店、食堂などに対して、「国の定めた物価を勝手に値上げしてはならず、値上げした場合には党政策拒否罪として、物品と売台(市場のワゴン)を没収し、管理イルクン(幹部)も召喚し、法的に処理する」と警告した。

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市場経済の仕組みを無視した今回の指示に、商人からは「物価は品物が足りなければ上がり、多ければ下がるのが当然だ。品物が入荷しないのに国が価格統制をしている」と不満の声が上がっている。

他にも、「(国は)いつも大声で喚き立てるが、何の解決策も持っていない」「今は品物が入荷さえすれば儲かるのに、統制を前面に押し出している」「いつ品物が入ってくるかも、枯渇するかもわからない」などと不満一色だ。

2009年の失敗したデノミネーション当時、ハイパーインフレに陥ったにも関わらず、当局は商人に対して国定価格での商品販売を強いた。そのため商人は売り惜しみし、深刻なモノ不足を招いた。このとき、北朝鮮では当局に対する抗議行動やこれに乗じた犯罪が続発。公開処刑が相次いだとされる。

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今回の中央の指示に対しては、道内の幹部からも疑問の声が上がっている。国がどれほど力を入れて物価を安定させようとしているか疑問だというのだ。

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「イルクンたちは、新義州に入ってきた品物をいつ咸鏡北道まで運ぶのかと反問し、国境に接している道は、それぞれ1カ所ずつ貿易できるエリアを作ってくれたらいいと内々に意見している」(情報筋)