浮かび上がった美女たちの遺体…北朝鮮「放蕩息子」の猟奇犯罪

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1980年代以前の北朝鮮は、非常に犯罪の少ない国だったと言われている。配給システムが機能し、住宅から食料品に至るまでほとんどのものを国が無料、または安価に配給し、「貧しくとも生きていける皆が平等」な国だったからだ。

それが1990年代、未曾有の食糧危機「苦難の行軍」を境に配給システムが崩壊し、餓死者が続出した。生きるために市場で商売する者もいれば、犯罪に走る者もいた。極度に悪化した治安対策として金正日総書記は、公開処刑を繰り返し、恐怖で国民を統制しようとした。

そして、経済制裁とコロナ鎖国、自然災害の三重苦で経済難が深刻化している今も、北朝鮮国内の情報筋からは犯罪多発の情報が漏れ伝わっている。デイリーNKジャパンは今年、8回にわたり北朝鮮の治安悪化を報じている。

(参考記事:美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた

ただ、かつてとは様相が異なる部分もある。

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なし崩し的な市場経済化で貧富の格差が拡大する中、カネとコネにものを言わせた富裕層の横暴が目に付くようになってきているのだ。

もちろん、北朝鮮には昔から特権層が存在し、彼らによる犯罪行為もあった。だが北朝鮮の場合、権力による国民監視が厳しいために、犯罪行為の態様にも一定の「節度」のようなものがあったような気がする。

ところが近年の富裕層による犯罪の中には、自由主義社会においても滅多にないような猟奇的なものが見受けられるようになった。

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中でも、今年3月に伝えられた、平安北道(ピョンアンブクト)の鉄山(チョルサン)郡にある外貨稼ぎ機関の責任者による連続殺人は、衝撃的だった。

機関と言っても実態は私企業だ。貝の養殖でぼろ儲けしていたこの機関の責任者は、親から利権を譲られた2代目だった。

カネの力で放蕩の限りを尽くし、美女を船上パーティーに連れ出して薬物を与えるなどの行為を続けていた。そのうち暴走に歯止めがかからなくなり、言うことを聞かない女性を殺害し、川に投げ捨てた。犠牲者の数は30人以上とされる。犯行は、下流に流れ落ちた遺体が次々に上がったことで発覚し、逮捕に至った。

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この事件の特徴は、残忍さとともに傍若無人さにある。どの国でもそうかもしれないが、特に北朝鮮において、このようなやりたい放題は人目を引く。この犯人の行動には、犯行を隠そうとする意思さえ感じられない。犯人は何故、このような行為に走ることができたのか。単に、個人の内面の問題なのか。あるいは北朝鮮社会の、あるいは金正恩体制のどこかに、タガのゆるみが出てきているのか。

金正恩氏は今年、国民の思想統制をいっそう強めていく姿勢を見せた。その方針は、2022年にも強化されるだろう。コロナ鎖国のせいで北朝鮮の内情をうかがうことはさらに難しくなっているが、国民の統制に対する金正恩氏の問題意識の背景に何があるのか、気になるところだ。