「何を食えばいいのか」金正恩の処刑部隊でも不満増幅

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かつては2500万人の北朝鮮国民が等しく受け取っていた国からの配給。だが、その多くを依存していた旧共産圏の崩壊により、1980年代から滞りがちとなり、1990年代の半ばになって、ついには完全に行われなくなった。他に生きる術を持たない人々が、次々に餓死していった。これがいわゆる「苦難の行軍」だ。

そんな時期にも配給を受け続けていた人たちがいる。

代表的なのが、国民を監視し、拷問や公開処刑に象徴される恐怖政治で体制を末端から支えていた保衛部(秘密警察)だ。しかし、コロナ鎖国による深刻な食糧難で、彼らに対する配給も途絶えがちだ。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、先月29日から保衛員に対する配給が実施されたと伝えた。2カ月分だが、保衛員本人の分は2割削減され、家族の分は配給されなかった。配給されたのは玄米だったが、糠混じりで、結局コメは5〜6割にしかならなかったという。

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これに対して内部からは、「コロナ防疫のための住民監視で忙しいというのに、配給も(まともに)しないのか」との声が上がっているという。

家族の分が配給されなかったことについては、「保衛員の家族というだけで(市場での商売などの)社会的活動を制限され、何もできなくしているくせに、基本的な生計保障すらしてくれなければ、何を食べて行きていけばいいのか」と怒りを爆発させた。

嫌われ者の保衛員の苦境に、一般住民は溜飲を下げていると思いきや、逆に不安が広がっているという。配給で得られなかった分を、一般住民から巻き上げようとするのではないかと怯えているのだ。

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また、保衛員ですら配給がまともに得られなかったのを見て、「倉庫が空っぽなのではないか」「時が経つにつれよりひどくなるのではないか」と食糧難の深刻化を懸念する声も上がっているという。

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ちなみに一般住民に対しては、建国記念日である「9.9節」に特別配給が行われたものの、有償で量も少なかったことから逆に不満が広がる結果をもたらした。また、通常配給が再開される兆しはない。

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