北朝鮮兵士「密閉空間で45人死亡」軍事パレードの陰で

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北朝鮮国営の朝鮮中央通信は9日、建国73周年を祝う「民間および安全武力閲兵式が、平壌の金日成広場で盛大に執り行われた」と報じた。閲兵式は同日未明に行われたと見られる。

新型コロナウイルス対策で厳しい防疫措置を敷く中、敢えて閲兵式を行ったのは、経済制裁とコロナ禍、自然災害の三重苦で経済難が深刻化する中、国民に団結を訴える目的からと思われる。

しかしその陰では、凄惨な事態が繰り広げられている。

国内での新型コロナウイルス感染者の発生を認めていない北朝鮮。だが、隔離者、死者が大量に発生しているという話は後を絶たない。

昨年12月の時点で、朝鮮人民軍では5万4620人が隔離され、隔離施設における死者は累積で4180人に達したとの報道もあった。一時期ほどではないようだが、依然としてコロナの集団感染が発生しているようだ。

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デイリーNKの江原道(カンウォンド)の軍情報筋は、黄海北道(ファンヘブクト)平山(ピョンサン)に駐屯する第2軍団の指揮部傘下の伝染病臨時病棟で7月から8月にかけて、45人もの軍人が死亡したと伝えた。病棟は既に閉鎖され、患者は別の建物に移された。

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南浦(ナムポ)の軍情報筋も、具体的な数字は明らかにしていないものの、現地に駐屯する第3軍団のコロナ病棟で1期、2期訓練期間中に病院での死亡者統計を軍医局に提出したが、予想以上の多くの死者数に強く叱責されたとのことだ。

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死亡者の多い軍団は第1、第2など最前線の軍団、中国との国境に近い軍団や司令部などで、コロナ疑診者臨時病棟での死亡者が特に多かったのは第2、第3軍団だという。

軍当局は、コロナ対策を立てていたにもかかわらず、これだけ多くの死亡者が出たことに大きな衝撃を受け、金正恩総書記も激怒。軍関係者は、さらなる対策に追われているとのことだ。

さて、ここまで死者が多く発生した理由として挙げられるのは「いい加減なコロナ対策」だ。

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各軍団は、昨年中にコロナが収束するとみて、結核病棟や倉庫にベッドを並べ、隔離病棟として使っていた。ところが、昨年12月1日から始まった冬季訓練で、最前線の軍団の複数の区分隊で発熱患者が続出。大慌てで軍団から遠く離れた山奥に、臨時で隔離病棟を建て始めた。対策が泥縄式で行われたということだ。

(参考記事:放置され死にゆく兵士…北朝鮮軍、コロナで兵力3割に打撃

また、適切な診断も治療も行われなかった。

「結核、肝炎を患っていた患者、風邪をひいただけの者を含めて、正確な診断もなしに、無慈悲に拉致するようにして、密閉空間のような臨時病棟に閉じ込めた」
「いかなる医学的、病理学的治療も行わず、1日1回の検温、日光浴をさせただけだ」
(情報筋)

さらに、提供される食事も1日に雑穀米450グラムと塩漬け白菜のスープだけ。コロナ隔離施設の劣悪さは、軍に限ったことではないが、いずれも病気そのものより、環境の悪さで死に追いやられる人が少なくないようだ。

(参考記事:「半数以上が死亡している」北朝鮮コロナ隔離施設の知られざる惨状

各軍団は、あまりの死亡者の多さに隠蔽に走り、遺族には「事故死した」と通告したが、「戦死証を出せ」という遺族とトラブルになり、国防省に信訴(告発)を起こされる事態となった。

国防省の叱責を受け、ようやく上部にも遺族にも病死報告をするようになったものの、今度は「集団生活をする軍で、また大量死が起こらないという保証はない」などと懸念の声が上がっているとのことだ。

一連の訓練は今月30日に終了するが、その前の8月末に、軍医局から入院者数、死亡者数と理由をまとめて軍医局に報告することになった。