北朝鮮の「人気芸能人」全員死亡のウラに黒い噂

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北朝鮮で1970年代、当時最高の人気を誇った芸能人集団「ピパダ(血の海)歌劇団」がキューバ公演に向かう途中、乗っていた旅客機が爆発し、全員が死亡する事故が起きていたことは以前に本欄でも言及した。

韓国紙・東亜日報記者で脱北者出身のチュ・ソンハ氏によれば、この情報は、単なる噂レベルのものではない。金正日総書記の側近だった崔益奎(チェ・イクキュ)元党宣伝扇動部副部長が執筆し、北朝鮮国内で出版された『主体(チュチェ)芸術の嚮導性』という書籍の中で、ごく短くだが言及されているという。

チュ氏は、金正日氏が最高指導者になってから一度も飛行機を使わなかったのは、この事故からたいへんなショックを受けたためだ、と分析していた。

しかしその後で同氏は、この事故にまつわるこんな説も紹介していた。

金正日氏は1960年代後半から、人妻で子供もいる女優のソン・ヘリムを、その夫から略奪して愛人としていた。それにより、当時のトップ女優であったソン・ヘリムは、銀幕からも消えることになったわけだが、それで噂が立たないはずがなかった。そして、その内幕を最もよく知っていたのが、ピパダ歌劇団の団員たちだったのである。

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金正日氏はこのときまだ、父・金日成主席の後継者として立場を完全に固めてはいなかった。仮に自分の女性スキャンダルが国民に知られ、後ろ指をさされているとなれば、父やその同志である老パルチザンたちにどう思われるかわからない。

それで事故に偽装し、団員たちを葬ったという見方が、北朝鮮国内で出回っていたという。

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チュ氏も認めるとおり、これは真偽不明の噂ではあるが、金正日氏が自分の愛人の口を封じたという話はほかにも伝わっている。

そして、そうした話は間違いなく金正恩総書記の耳にも入っているだろう。金正恩氏の母である高容姫(コ・ヨンヒ)氏もまた、芸能人の出身だ。金正恩氏はことあるごとに、父親の権威を否定するような言動を見せているが、そこにはこうした情報や噂話が影響を与えている部分もあるのかもしれない。