韓国の捜査当局は今月3日、北朝鮮の指令を受けてステルス戦闘機の配備に反対する運動を繰り広げたとして、市民団体出身の活動家3人を国家保安法違反の容疑で拘束。逮捕令状が交付されなかった他の1人と合わせ、活動実態に関する捜査を進めている。
韓国紙・朝鮮日報の報道によれば、捜査当局が家宅捜索で押収したUSBメモリーからは、
「(活動資金の)2万ドルを無事に受領した」と北朝鮮側に報告する内容の文書ファイルや、「米軍F35A戦闘機導入に反対する市民運動を展開せよ」という趣旨の指令文などが見つかったという。
ステルス戦闘機配備に対する反対運動というのは、日本でならば言論の自由の範疇に収まり、事件化するほどのことではないだろう。そこは、北朝鮮と互いの体制を否定し合い、激しく対立してきた韓国との国情の違いによる部分だが、4人が本当に北朝鮮のスパイと言えるかどうかは、今後の捜査と裁判の成り行きを慎重に見守る必要がある。
いずれにせよ、彼らの活動を通じて、北朝鮮が韓国におけるF35A配備に神経をとがらせている実態が、いま一度明らかになったと言える。
北朝鮮は2016年から2017年にかけて弾道ミサイル開発に拍車をかけたが、このときはまだ、日韓におけるF35Aの配備が本格化する前だった。今後、配備がさらに進み、日米韓のF35A(およびB)と米軍のF22を合わせて200機ものステルス戦闘機に包囲された状況で、北朝鮮が同じような軍事的冒険に出られるかは疑問だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面金正恩総書記はほとんどの場合、弾道ミサイルの発射実験を現場で指揮したが、独裁者の身の安全は体制の安定に直結する。
(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳)
しかしF35AやF22ならば、北朝鮮に気付かれないまま防空網を突破する。かつて米国のある軍事評論家は、金正恩氏の専用トイレをピンポイント爆撃して北朝鮮をけん制するよう提唱したが、これは北朝鮮にとって、とうてい冗談とは受け止められない話なのだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面核武装した北朝鮮はたしかに脅威だが、北朝鮮が核をもって何をしようとも、日本や韓国、米国の体制までを破壊することはできない。しかし日米韓のステルス戦力は、独裁者を除去し、北朝鮮の体制を転覆させるための決定的な役割を果たすことができる。
北朝鮮が、このような状況に相当な脅威を感じているのは間違いないだろう。