金正恩が抱き寄せた女性芸能人…先輩らは「公開処刑」に

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北朝鮮の朝鮮中央通信は12日、国務委員会演奏団をはじめとする重要芸術団体の創作家と芸能人に、朝鮮民主主義人民共和国の名誉称号と勲章が授与されたことを報じた。授与式は11日、平壌の万寿台議事堂で行われた。

同日、金正恩総書記は名誉称号などを受けた創作家や芸能人らと面会している。

同通信が公開した面会時の写真の中に、非常に印象深いものがある。

若手の芸能人ら数十人が金正恩氏を取り囲むようにして撮ったものだ。よく見ると、金正恩氏は右隣の女性の肩に腕を回し、その手を別の女性が頬に当てている。北朝鮮の最高指導者が親愛の情を表すため、こうしたスキンシップを見せることは今までもあったが、この写真はなんだか一歩進んだもののように見える。

ただ、この写真が強い印象を与える理由は、その構図とは別のところにあるような気がする。それは、金正恩時代を生きる芸能人たちの、運命の落差の大きさだ。果たして彼女たちは、かつて最高指導者の寵愛を受けた先輩たちの、悲惨な末路を知っているのだろうか。

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本欄でもすでに伝えたが、北朝鮮では今年の2月末、朝鮮人民軍勲功国家合唱団の有名指揮者が些細な失言を理由に公開銃殺されたという情報がある。現場には大勢の芸術関係者が集められたというから、もしかしたら上述した写真の中の芸能人たちも、処刑の様子を見せられたかもしれない。

一方、芸能人らと面会した際に金正恩氏が述べたとされる言葉の中には、不穏なものを思わせる部分がある。

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「文学・芸術部門が相変わらず冬眠期、沈滞期から完全に脱せずにいる時に、党中央の意図を具現した名作、名公演で人民の積極的な呼応と感興を呼び起こした」

これは、受勲した若い芸能人たちを称賛する言葉だが、同時に文学・芸術部門全体としては「冬眠気、沈滞期」にあると述べている。これは、先輩世代の芸能人・創作家たちに対する、強い不満の表れと言える。

現在の北朝鮮の芸術分野は、故金正日総書記の時代にベースが作られた部分が大きいと見られるが、金正恩氏は、明らかに父を嫌っている。かつては名声をほしいままにした芸術家たちも、今は金正恩氏を恐れ、縮こまっているのかもしれない。