金正恩に赤っ恥をかかせた「重大事件」責任者たちの運命

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北朝鮮の金正恩総書記は先月29日の朝鮮労働党中央委員会第8期第2回政治局拡大会議で、新型コロナウイルスの流入防止のための防疫対策において、幹部の怠慢により「国家と人民の安全に大きな危機を醸成する重大事件を生じさせた」と明らかにした。

「重大事件」の中身が何であるかはいまだ明らかになっていないが、この会議で軍の最高幹部が更迭されたとの見方が強まっていることから、国民への「軍糧米」配給を巡り何らかの問題が生じた可能性が指摘されている。

そんな中、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋は5日、韓国デイリーNKに対し、「清津(チョンジン)市に、今月1日から(滞っている)食糧供給を正常化するとの(上層部からの)指示が伝えられたが、まだ何も実行されていない」と伝えた。一方、両江道(リャンガンド)の情報筋によれば、当局は食料を供給できない理由として「軍糧米が盗まれた」と説明しているという。

金正恩氏は6月の党中央委員会第8期第3回総会で、自身が署名した特別命令書を発した。北朝鮮メディアは特別命令書の内容を明らかにしていないが、デイリーNKの内部情報筋をはじめ複数の消息筋によれば、食糧難にあえぐ国民に軍糧米を配給するよう命じるものだったとされている。

金正恩氏のこうした指示が守られなかったとすれば、それは確かに「重大事件」だ。

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また両江道の情報筋によると、住民らは拡大会議での「重大事件」告発は幹部に対する大々的な粛清の前触れと見ており、「(当局は)苦しい時期が来るたびに幹部を銃殺したり、更迭したりする方法でごまかしてきた。だから、もはや誰も食糧供給に期待していない」という。

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そのような世論が当局に感知されたとすれば、最高指導者にとんでもない恥をかかせたことになり、重大事件の罪はいっそう重いものとなる。

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一方、別のデイリーNK内部情報筋はこれに先立ち、軍は金正恩氏の命令を受けて軍糧米を配給しようとしたところ、倉庫に十分な量がなかったことから、防疫ルールに違反して国外からコメを搬入していた疑いがあると伝えた。事実なら、搬入した物資の隔離期間が明けるまで国民には供給できない。

これらの情報の確度は引き続き検証が必要だが、少なくとも、客観的情勢や話の流れに矛盾はない。

果たして、金正恩氏は国民が予想するとおり、大々的な粛清に乗り出すのだろうか。