処刑された美人女優…金正恩「禁断の映像」摘発の暗黒時代

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北朝鮮の金正恩総書記は先月29日、金日成・金正日主義青年同盟(社会主義愛国青年同盟に改称)第10回大会に「革命の新しい勝利を目指す歴史的進軍で社会主義愛国青年同盟の威力を遺憾なく発揮せよ」と題した書簡を送り、「反社会主義・非社会主義的行為」を一掃せよと呼びかけた。

反社会主義・非社会主義的行為には、金正恩体制が「社会主義にふさわしくない」と考えるあらゆる行いが含まれるが、近年、その筆頭に挙げられているのが韓流をはじめとする違法映像作品の視聴と流布だ。

最高人民会議常任委員会が昨年12月4日に採択した「反動的思想・文化排撃法」は、第27条で韓流コンテンツを流布した者の最高刑は死刑、第29条では「性録画物」についても、流布した者の最高刑は死刑と定めており、すでに同法を適用され処刑された人々もいるとされる。

北朝鮮では、過去にもこうした極端な取り締まりが行われている。韓国のメディア、デイリーアンは2013年9月、北朝鮮筋の話として、美人女優で「人民俳優」の称号を受けていたピョン・ミヒャンが、密かにウラAVに出演していたことがバレて処刑されたと報じている。

(参考記事:【写真】美人女優ピョン・ミヒャンの公開処刑で幕を閉じた「禁断の映画」摘発の内幕

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ただ、当局がいくら取り締まっても、韓流などの映像コンテンツを視聴する人々のすそ野は広がる一方だ。ということは、取り締まりの対象も膨大になっており、金正恩氏が本気で摘発キャンペーンの「成果」を上げたいと思うなら、前社会規模での大掛かりな取り組みが必要になる。

そして、そのような取り組みで中心となりそうなのが、青年同盟だ。

金正恩氏は前述した書簡で「現段階において朝鮮式社会主義の本態を曇らす危険な毒素は、反社会主義・非社会主義的行為」であると指摘。さらに「青年の間で悪性腫瘍のような反動的思想文化の弊害と悪結果をはっきりと認識させ、それとの闘いを彼ら自身の活動に変え」るべきだとしながら、次のように強調している。

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「全同盟が反社会主義・非社会主義的行為との闘争が一寸も退くことのできない鋭い対決戦であるという覚悟を持って数百万の青年を総決起させ、青年の熱烈な正義感、肯定の力によって不正の芽、不純の毒草を根絶しなければなりません」

青年同盟はこれまでにも、風紀の取り締まり部隊である「糾察隊」の中核となって活動してきた。もちろん、青年同盟のメンバーも多くが韓流コンテンツなどを視聴していると見られ、彼らが本気で取り締まりの必要性を感じているとは思えない。

ただ、何人といえども、最高指導者の定めた方針にあらがうことの出来ないのが北朝鮮社会である。金正恩氏からハッパをかけられた青年同盟が、「反動的思想・文化排撃法」の刃を振り回し、罪なき人々の悲劇を量産しないことを願うばかりだ。