北朝鮮女性が語る「老いた拷問要員」への冷たい復讐

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北朝鮮の秘密警察である国家保衛省は、政治犯収容所の運営や公開処刑を担う、恐怖政治の柱だ。「泣く子も黙る」とは、まさに彼らのことだ。

しかし、年を取り退職したOBたちの末路は悲惨であると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

国家が支給する手当てが雀の涙ほどしかないうえに、彼らから監視、抑圧され、さらには拷問や虐待を受けた庶民が「冷たい報復」に出るからだという。

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平安南道(ピョンアンナムド)の安州(アンジュ)に住む女性がRFAに伝えたところによると、市の保衛部で30年間勤め上げ、退職した保衛部の元幹部は、地元で自転車修理所を開いたという。保衛部が支給した退職金では1年分の食料費にもならず、働いて生計を維持するためだ。女性は次のように語る。

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「彼らにとっては役所に面倒を見てもらえないのも問題だろうが、住民らは保衛部の幹部だというだけで、現役だろうがOBだろうが構わず冷たくあしらう。人をなぶり殺しにしたり、体制保衛のため人々を残酷に扱ったりした恨みを忘れないからだ」

女性は続けて、「住民らは、自転車が壊れたりタイヤがパンクしたりしても、元幹部の修理所を避けて遠くまでなおしに行く。元幹部は住民の冷たい視線から逃れられない」と話した。

道内のほかの住民も「わが国の人間で、毎日のように住民の思想同行と出身成分(身分)をうかがい、人々を監視して捕まえるのを仕事としていた保衛部員に好感を抱く者はただのひとりもいない。いくら権力をほしいままにしていた保衛部の幹部といえども、退職してしまえば一般人以下だ」と語った。

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この住民はまた、「「現実がこうなので、保衛部の幹部は退職が迫ると、どうにかして外貨稼ぎ機関に潜り込もうとする。しかし外貨稼ぎ機関としても、保衛部の元幹部はいつ裏切るとも知れない危険な人間であると知っており、彼らの受け入れに消極的だ」と話した。

しかし見方を変えれば、保衛部の退職幹部は金正恩体制による人権蹂躙の当事者であり、生き証人ともなり得る存在だ。食い詰めた彼らの一部がいずれ、体制への意趣返しを狙い、国際社会に証言を提供しないとも限らない。