北朝鮮「骨と皮」だけの一家を待っていた悪夢の8日間

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共同通信によれば、日本全国の警察が昨年3月以降、変死などとして扱った遺体のうち、197人が新型コロナウイルスに感染していたという。今月は、20日までの集計で75人と急増している。

一方、自国でのコロナ感染者の発生を公式に認めていない北朝鮮でも、病院、施設、自宅問わず死亡する人が相次いでいる。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の隔離施設では、去年1月から11月末まで間に、陸軍2800人、海軍920人、空軍460人の計4180人が死亡した。ただ、軍内では以前から栄養失調が蔓延していたこともあり、これがコロナによるものか、他の原因によるものかはハッキリしていない。

(参考記事:3割が生きて出られない…北朝鮮コロナ隔離施設の劣悪な実態

自宅での療養生活もひどいことに変わりない。平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、自宅隔離を強いられていた人々が相次いで餓死したと伝えた。

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亡くなったのは、新義州(シニジュ)市の解放洞(へバンドン)に住んでいた3人家族と老夫婦の2家族5人だ。高熱などの症状があったようで、コロナの疑いをかけられ、2家族は自宅での隔離を強いられていた。

自宅隔離を強いられた人に対しては、町内担当の安全員(警察官)、防疫所のイルクン(幹部)、クリニックの担当医師が3人1組になって、朝夕の2回、隔離対象者の家を回り、検温を行い、玄関ドアに貼られた「隔離」と書かれた紙が剥がされていないか、外出した者はいないかチェックしていた。

ところが、今月5日から12日までの8日間、朝鮮労働党第8回大会の開催を機に状況が一変した。特別警戒週間が宣言され、隔離対象者のチェックを行う担当者が金日成主席、金正日総書記、金正恩総書記が描かれた1号作品、銅像、肖像画のある研究室などの警備に駆り出された。

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親戚から「連絡が取れない」との通報があったが、何の措置も取られず、隔離対象の家に近づいてはならないという防疫規則のため、近隣住民は気がかりでも何もできなかった。

「事実上、自主隔離者は誰の眼中にもなかった」(情報筋)

今月12日に党大会が終わった後、人民班長(町内会長)は町内を巡回していた。そのときに、ふと隔離されている2家族のことを思い出し、訪ねてみた。ドアをノックしてみたが、返事がなかったため、すぐに安全部(警察署)に通報した。

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安全部はすぐには出動せず、翌朝になってからやってきた。扉をこじ開けて、2家族5人が倒れているのを発見した。全員が事切れた後だった。近所に住む親戚によると、亡くなった5人はガリガリで骨と皮だけになっていたという。死因は明らかになっていないが、飢えが死の一因になったことは間違いないだろう。

市民は、今回の事件で当局を口々に非難している。

「当局が1号作品の警備にばかり気を使っている裏で、人民が死んでいる」
「少なくとも1日に1回でも覗いていたら、死ぬことはなかったんじゃないのか」
「党大会は、豊かに暮らして白飯に肉のスープを与えようとした、首領様(金日成氏)の遺訓教示の貫徹の延長線上にあったのではないのか」

自宅隔離された人々には、外出が禁じられた状態で、食べ物や燃料の供給が充分になされない。北朝鮮が、コロナから国民の生命を守ることに関心を持たず、体制を守ることだけに汲々としているのは、今までの数々の事例を見ると明らかだろう。

(参考記事:北朝鮮「地獄の自宅隔離」から逃走した一家4人の戦い