金正恩「拷問部隊」も餓死者続出で寛大な措置

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北朝鮮は、現在に至るまで国内での新型コロナウイルス感染者の発生は「ゼロ」であるとしているが、都市の封鎖令(ロックダウン)は頻繁に発令している。

北朝鮮の新型コロナ対策は非常に極端だ。家族の中の誰かが感染の疑われる症状を見せると、それがコロナなのか、あるいは単なる風邪なのかも確認せず、一家全員が30日間にわたり隔離させられる。その間の食料や燃料は地元行政が手当てすることになっているが、その量は著しく少ないとされる。隔離生活の苦しさに耐えかねて、自ら命を絶った人もいるという。

封鎖や隔離が解除されても、移動統制という困難が残る。平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によれば、地方ではこの移動統制が、貧しい人々の食糧難に拍車をかけているとのことだ。

「道内の最大都市である新義州(シニジュ)市内も生活が苦しいのは同じだが、食べ物は手に入る。しかし地方では事情が異なる。食べていけるようにしてくれなければならないのに、移動を禁止しているので、飢えに苦しむ人々が出ている」

都市部は、商店や市場も多く、交通インフラも比較的整備されているため、食糧の入手がまだ可能だ。しかし地方では基本的なインフラが整っていない上に、昨年の台風などで穀物の生産高が減少し、深刻な食糧難の兆しが現れつつあるというのだ。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋も、現地の深刻な食糧事情を伝えた。人々は生き伸びるため、移動統制のルールを敢えて破り、夜間に徒歩で近郊の農村へ出かけ、コメの買い出しを行うようになった。これを受け、当局は先月20日、さらに移動統制を強化した。

こうした状況を取り締まるのは、安全部(警察)と保衛部(秘密警察)だ。特に怖いのは、拷問や公開処刑で金正恩体制の恐怖政治を支えてきた保衛部だ。金正恩総書記は、新型コロナ対策の違反者には軍法を適用するよう命じており、捕まれば死刑や政治犯収容所に送られる可能性が高い。また、北朝鮮は1990年代の大飢饉「苦難の行軍」のように、国家が危機的状況に陥るほど恐怖政治を強めてきた。

ところが、咸鏡北道の保衛部や安全部は、移動統制の違反者を敢えて取り締まろうとしなかったという。都市封鎖や長期の自宅隔離の結果、餓死者が続出している実情を知っているからだ。自らの利権確保や保身を図るのに長けた保衛部としては、珍しく寛大な措置と言える。

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ところが、そんな状況にも変化が生じた。個人所有の車両が農村からコメを運び出しているという報告を受けた朝鮮人民軍(北朝鮮軍)が、中央党(朝鮮労働党中央委員会)に報告したのだ。食糧不足に頭を悩ませているのは軍も同じだ。コメが次々と運び出されるのを放置すれば、軍糧米(軍向けの食糧)が確保できず、ただでさえ飢えに苦しんでいる兵士たちが、さらなる困窮に追い込まれる。

中央党は、咸鏡北道のみならず全国的に車両の移動を強力に統制するよう指示し、コメを積んだ車は姿を消した。飢えに苦しむ庶民に誰が救いの手を差し伸べるのかについて、情報筋は言及していない。