女性少尉を「性上納」でボロボロに…金正恩「赤い貴族」の非道ぶり

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北朝鮮は決して認めようとしないが、様々な資料や脱北者の証言により、同国には厳格な身分制度のあることが知られている。先祖や本人の活動歴、地位、職業などにより「出身成分」「社会成分」「階層」という3種類の身分が存在し、それに応じて特権を享受する者もいれば、厳しい差別に晒される者もいる。

その頂点に位置するのは金正恩党委員長をはじめ、彼の祖父・金日成主席に連なる一族だ。そしてその次に身分の高いのは、金日成氏とともに抗日パルチザン活動を行っていた人々とその子孫である。その特権的な地位から、「赤い貴族」などと揶揄されたりする。

(参考記事:【徹底解説】北朝鮮の身分制度「出身成分」「社会成分」「階層」

そんな「貴族階級」に属する呉鉄山(オ・チョルサン)氏も、金日成氏の護衛を担当する護衛総局の局長を務めた父親の呉白龍(オ・ベクリョン)氏の七光りで、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)海軍司令部の政治委員の座まで登りつめた。

生まれながら特権を持ち、傍若無人な振る舞いをする者もいるが、呉鉄山氏もそんな一人だった。デイリーNKの内部情報筋が、彼の犯した犯罪の詳細を語った。

事は、呉氏が咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)郊外にある海軍東海艦隊司令部で勤務していた1999年まで遡る。背が低く肌が浅黒いことにコンプレックスを抱いていた彼は、自らを担当する看護師の容姿について「背は自分より低く、肌は自分より黒い女性がいい」などと事細かく指定していた。

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その条件にピッタリだったのが、中級兵士(上等兵)のキム看護師だ。黄海北道(ファンヘブクト)沙里院(サリウォン)の商業管理所の従業員として働く両親のもとで育った、ごくごく平凡な家の出だったが、肌は白く、スラッとしたスタイルながらも、背は低い点が呉氏好みの女性だった。

キム看護師が呉氏の担当になるや、すぐに執拗なセクシュアル・ハラスメントが始まった。昼夜を分かたず頻繁に呼び出し、やがてマッサージをさせるようになった。18歳の彼女には、その場をうまく切り抜ける知恵もなく、彼女を救ってくれる存在もなかった。

呉氏は、「愛してる」「俺が責任を取る」と甘い言葉をかけ続け、ついには性的関係を強いた。さらに、何の罪もない担当軍医を後方部軍医部に異動させ、キム看護師を少尉に昇進させた上で、自分専用の軍医にした。また、軍関連の全国規模の大会にも参加させた。

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(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

地位、階級の「贈り物」をする一方で、「この恩を忘れるな」「俺の鶴の一声でお前などいくらでも追い出して、家を木っ端微塵にすることもできる」などと、脅かし続けた。そんな地獄のような日々は5年にわたって続いた。同僚は、当時の彼女は顔色が悪く、憂うつ感を訴えていたと証言した。

2004年のある日。彼女は休暇を取って沙里院の実家に帰った。両親に会うためではなく、北朝鮮では違法である妊娠中絶手術を受けるためだった。

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両親には部隊に戻ると告げたが、戻らずに休暇を延長して、幼馴染の家で過ごしていた。そして遺書を残し、その家の倉庫で自ら命を絶った。5年も続いた地獄に、自らの死を持って終止符を打ったのだ。

遺書の内容は秘密に付されたが、「力のない家で生まれたのが罪」「両親にあわせる顔がない」などと書かれていたとの噂が広がった。彼女は、鑑定除隊(病気による除隊)扱いにされ、両親も異議を唱えなかった。いや、できなかったのだろう。

捜査機関も、パルチザンの息子を裁くどころか、取り調べすらできなかった。庶民であるキム看護師の両親は、悔しい思いを胸の奥にとどめ、沈黙するしかなかったのだろう。そこには、性暴力は被害女性の落ち度とする北朝鮮社会の風潮も影響していただろう。

(参考記事:北朝鮮「突撃隊」で性暴力の餌食になった20代の女性隊員

2016年5月に朝鮮労働党第7回大会が開かれたが、呉鉄山氏は党候補委員に選出されなかった。兄の呉琴鉄(オ・グムチョル)副総参謀長や他の抗日パルチザン家系の人物も、地位が引き下げられた。犯罪に対する処罰ではなく、権力基盤を固めようとしていた金正恩党委員長が、既得権力化していた彼らを除去しようとしたことによるものと思われる。

(参考記事:金正恩氏「パルチザン2世」をけん制か…相次ぐ降格

その直後の同年8月、元駐英北朝鮮公使の太永浩(テ・ヨンホ)氏が韓国に亡命する事件が起きた。夫人は、呉氏兄弟の妹の呉恵善(オ・ヘソン)氏。その後の兄弟の動静は伝えられていない。「裏切り者」とされた特権階級の家族がどうなったか、今までの事例を考えると、答えはおのずと推し量られるであろう。

(参考記事:金正恩氏が1千人を処刑し家族ら2万人を粛清か…脱北高官ら証言

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