文在寅政権が日本を巻き込む「三文芝居」の軽薄な目的

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最近、韓国の要人が相次いで日本を訪問し、菅義偉首相と面談した。まず、情報機関である国家情報院の朴智元(パク・チウォン)院長が8日から訪問。続いて12日から、金振杓(キム・ジンピョ)会長ら韓日議員連盟の代表らが日本を訪れた。

日韓関係が「戦後最悪」とも言われる状況にあって、朴氏の訪日は「何か動きが出るのか」という期待を抱かせた。歴史的に、国情院長は北朝鮮との対話でも重要な役割を果たしてきており、今回も特別なミッションを担っているかもしれないと思わせたのだ。

結果的に、朴氏や議連代表らの訪日後も両国関係に進展は見られなかったが、こういうことは時間がかかるものでもある。待っていれば、いずれ何かがわかるかもしれないと、淡い期待を維持した。それを完全に放棄したのは、韓国紙・中央日報に掲載された議連の金振杓会長のインタビューを見てからだ。「日本政府、東京五輪に金正恩氏招待の意向」と題した同紙18日付のインタビュー記事は、次のような内容である。

〈今月12~14日に訪日した金議員はこの日の中央日報との単独インタビューで、日本政府高位当局者との面談内容を公開して「金委員長が出席する意向があるなら、五輪組織委員会を通じて正式に招待する場合もあると話した」と伝えた。

金議員は、韓国が北朝鮮の五輪参加に協力すると言うと、日本の高位外交当局者が「もし金正恩国務委員長が出席すると話したら、東京五輪組織委員会を通じて公式に招待することができると明らかにした」とも公開した。続いて「東京五輪組織委員会会長である森元首相も出席意思があるなら招待するのが道理ではないかという話をした」とも紹介した。〉

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これは、「仮に金正恩氏が東京へ来るというなら」という、たとえ話に過ぎない。北朝鮮が五輪に参加するつもりがあるかどうか自体がまったく不明であるし、それについて韓国がどうこう出来る立場にあるわけでもない。

そもそも今年末の国連総会で、実質的に「深刻な人権侵害の責任者」として非難されるであろう金正恩氏が、「五輪にサクッと来てサクッと帰る」との状況は、日本人拉致問題を踏まえて見ても簡単には想像しがたい。

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森元首相らが本当に「出席意思があるなら招待するのが道理」と話したとしたら、個人的に常識的なレベルで、礼儀正しく相手の話に合わせ受け答えをしただけだろう。

それをまるで、日本が金正恩氏を積極的に招待する意思があるかのような「言い換え記事」を不意打ちのように繰り出してきたのは、対北朝鮮・対米国とも不調で「外交全敗」状態にある文在寅政権の窮地を糊塗するためではないか。金議員は政権の人間ではないが、与党所属なので同じだ。

(参考記事:「日本との関係を最悪にした」文在寅・元支持者の批判本がベストセラーに

つまりは国内向けパフォーマンスの「三文芝居」を、わざわざ日本まで来て、菅首相まで巻き込んで演じたということではないのか。

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この一件には既視感がある。2018年10月の、文在寅大統領の欧州歴訪時に出た「ローマ法王が訪朝受諾」説だ。

この歴訪の際、文在寅氏はバチカンでローマ法王フランシスコと会談した。青瓦台(韓国大統領府)によると、法王は文氏から北朝鮮の金正恩党委員長の訪朝要請を伝えられ、「(北朝鮮から)公式の招請があれば無条件で返事をするし、私は行くことができる」と述べたという。これを受け、青瓦台はローマ法王が北朝鮮訪問を「受諾」したことを、歴訪最大の成果として誇示した。

しかし、その後の経過はどうか。ローマ法王の訪朝計画など、影も形もない。当たり前である。法王は実際のところ、北朝鮮に「行く」とは言っていなかったのだ。

このような軽薄なパフォーマンスは、文在寅氏やその与党勢力の眼中にあるのは第一に政権支持率であり、自分たちの再選であるということを、示唆しているように思える。

(参考記事:「文在寅派は急速に腐敗している」韓国知識人”反旗のベストセラー”が暴く闇