豪州が打ち砕く、文在寅に残された「たったひとつの希望」

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共同通信によれば、国際オリンピック委員会(IOC)は17日、バッハ会長とオーストラリアのモリソン首相が来日中の東京都内で会談したと明らかにした。首相は同国北東部クイーンズランド州への2032年夏季オリンピック・パラリンピックの招致で、政府の全面支援を約束したという。

報道によれば、クイーンズランド州はブリスベンやゴールドコーストなどでの開催を想定しているという。計画の詳細はわからないが、聞いただけでなかなか魅力的に感じる。

一方、2032年五輪招致では韓国と北朝鮮が共同開催を掲げてきた経緯がある。韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長(朝鮮労働党委員長)が2018年9月の南北首脳会談に合わせて採択した共同宣言で、2032年五輪の南北共同開催を招致するため協力するとうたっているのだ。これを受け、韓国政府は今年1月、五輪の南北共同招致とソウル・平壌共催を推進するための計画案を閣議決定した。

しかし、オーストラリアが本気で招致活動を展開したら、韓国と北朝鮮にとっては強敵になる。そもそも本当に五輪を共同開催したければ、北朝鮮国内の人権状況の改善が絶対に必要だ。残酷な方法で公開処刑を行い、それを人々に強制見学させる国で、五輪を開催することなどできるだろうか。

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共同宣言でうたわれた南北協力はすでに形骸化しつつあり、北朝鮮が五輪招致についてどのような意思を持っているかも不明だ。実際、南北は共同宣言で、東京五輪の複数競技で南北合同チームを結成すると合意していたが、北朝鮮側のアクションがなく、実現はきわめて微妙になっている。それどころか、北朝鮮は東京五輪に来るかどうかすらわからないのが実情だ。

それでも文在寅氏にとっては、時間的な猶予がある共同招致の方針を堅持することが、ほとんど崩れ去った南北融和の夢に残された「たった一つの希望」なのかもしれない。

だが、五輪招致に向けた文在寅政権の動きに対しては韓国の国内外からの批判も強い。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局副局長であるフィル・ロバートソン氏は米紙ワシントンポストの1月18日付で、「北朝鮮に対する認識に関して、文大統領は『ラ・ラ・ランド』(ファンタジー映画)のような別世界に住んでいる。五輪共同開催提案は現在の政治的現実と完全にかけ離れた太陽政策的楽観主義の上に構築された巨大プロジェクトだ」と痛烈に批判している。

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韓国政府がこれらの難関をクリアし、2032年五輪の共同開催にこぎつける可能性は、限りなく少ないように見える。

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