北朝鮮が軍内での物資横流しを根絶するため監督部署の再編を行ったと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の軍関連情報筋は5日、RFAに対し「最近、軍総政治局の指示に基づいて、兵士たちの補給物資供給の監督を専門とする『軍人生活検閲課』の名称が『党政策課』に変わり、人員も大幅に増えるなど、軍幹部による補給物資の横領行為に対する監視が強化された」と語ったという。
北朝鮮軍では、以前から食糧などの物資横流しが横行しており、栄養失調にかかる兵士が続出。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によれば、今年5月には道内の三水(サムス)郡に駐屯する朝鮮人民軍42旅団で、兵士5人が死亡した。部隊の中からは「戦争で死ぬなら悔しくないが、栄養失調で死ぬのは悔しい」「これが栄誉ある軍の服務なのか」などの不満が噴出したという。
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)
このような異常事態を受け、軍内部に緊張が走ったであろうことは想像に難くない。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面RFAによれば、再編された党政策課には「軍政治部、後方部、保衛部において経験を積んだ専門性の高い人員が選抜されている」とのことだ。また、そのような人員構成もさることながら、今回の再編では党政策課という新しい名称に、軍当局の決意が表れていると言えるかもしれない。
なぜなら、北朝鮮において朝鮮労働党の政策はすなわち、金正恩党委員長からの命令事項であり、これに背けば重罰を覚悟せねばならないからだ。
ただ情報筋によれば、「それでも兵士たちの間では、いくら名称を変え人員を増強しても、軍幹部の経済的困窮が続く限り、不正根絶は難しいだろうとの指摘が出ている」という。確かにそれもそうで、物資横流しがなくならない最大の原因は、軍が幹部らの給料と生活を保障できていないという点にある。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面RFAの情報筋はさらに、軍内で語られている次のような話を紹介した。
「党政策課の人員が大幅増えたのであれば、彼らに目をつぶってもらうために渡るワイロの量も増えざるを得ない。かえって『物資泥棒』の被害が増える結果に終わるのではないか」