「致命的で破壊的」金正恩を激怒させた軍人たちの暗い運命

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北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は27日、新型コロナウイルスに警戒を呼びかける社説を掲載した。

同党中央委員会政治局は25日、非常拡大会議を緊急招集した。金正恩党委員長が主宰した会議では、開城(ケソン)市で悪性ウイルスの感染が疑われる患者が確認されたことが明らかにされた。社説はこれを受け、「致命的で破壊的な災難を招きかねない危険が生じた」としている。

複数の患者を処刑

周知のとおり、この患者は脱北して韓国で暮らしていた20代の男性だ。軍事境界線を越え、漢江の河口を泳いで北へ渡った可能性が高いとされており、韓国では軍による警備のずさんさに厳しい目が注がれている。

事情は北朝鮮も同じだ。非常拡大会議では「最前線部隊の手薄な前線警戒勤務実態を厳しく指摘し、党中央軍事委員会が事件の発生に責任のある部隊に対する集中調査結果の報告を受けて厳しい処罰を適用」する方針が示されたという。金正恩氏の怒りの激しさが伝わってくるようだ。

デイリーNKの現地情報筋によれば、党中央軍事委員会と軍最高司令部、党組織指導部のメンバーからなる合同検閲班が、軍事境界線の西部前線を受け持つ第2軍団と第4軍団に派遣され、集中的な調査を行っているという。

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「男性の今回の越境だけでなく、3年前の脱北に気付かなかった警備兵たちも処罰を受けるだろう。また関係する小隊、中隊、大隊、連隊の長と政治指導員と保衛指導員も連隊責任を問われるはずだ」(情報筋)

北朝鮮メディアは中国以外では新型コロナウイルスの感染拡大が始まっていなかった1月の段階から、新型コロナウイルス感染症への対策は「国家存亡に関わる重大な政治的問題」であると訴えてきた。

それもそうだろう。同国の防疫・医療システムは極めて脆弱であり、新型コロナウイルスの感染が広がって社会が混乱するようなことになれば、体制を土台から揺るがす事態につながりかねない。だからこそ、金正恩氏は自ら防疫対策の旗を振ってきた。

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そして金正恩氏は、防疫対策の違反者には軍法を適用するよう指示。それに基づき、複数の患者が処刑されたとの情報もある。それが事実ならば、今回の事件で責任を問われる軍人たちにも、他への「見せしめ」として極刑が下される可能性は小さくない。