飢えた女性がガソリンをかぶり…北朝鮮「コロナ隔離」の残酷な実態

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中国・丹東などを拠点に取材しているデイリーNKジャパンのカン・ナレ記者によれば、北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)市で3月10日、新型コロナウイルスへの感染が疑われ自宅に強制隔離されていた女性が焼身自殺する事件が発生し、周囲に大きな衝撃を与えているという。

50代半ばのこの女性は先月17日、軽い風邪の症状が出たことで会寧市人民病院を訪れたが、新型コロナウイルスへの感染が疑われるとして強制的に自宅に隔離された。北朝鮮当局は感染の疑いのある人々に対し、30日間の隔離を課している。

処刑の場合も

現地消息筋はカン記者に対し、「いま、風邪の症状で病院へ行くと例外なく新型コロナウイルスへの感染を疑われ、自宅で1カ月間、隔離させられる。この女性も同様だった」と説明した。また、「当局は隔離を決める際に、ウイルスに感染しているかどうかの検査はそもそも行わない」と強調した。

さらに「彼女は4年前の2016年6月、自動車事故で夫を亡くし、2人いる子どもは、いずれも兵役中」だとし、「この間、市場で食べ物を売ってやっと生計を維持してきた」と説明した。また、「感染が疑われて自宅に監禁されるや、食べ物の問題をどうにかして欲しいと毎日、担当の保安員(警察官)に頼んでいたが、保安員は耳を貸そうともしなかった」と訴えたという。

北朝鮮当局は1月中旬、中国で新型コロナウイルスの大量感染が勃発するや、国境を閉鎖し、風邪の症状がある患者の自宅隔離を開始した。当初、北朝鮮当局は自宅に隔離された患者に3日に一度の外出を許可し、食料や燃料確保などの生計維持のための活動を行うことを許していた。

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ところが2月28日、金正恩党委員長が新型コロナウイルスと関連して朝鮮労働党政治局拡大会議を開催した後、自宅隔離された人々は、1週間に1回、30分に限り、食べ物の調達のため外出することしかできなくなった。さらにそれさえも、マスクを着用していなければ許可されない。

隔離状態やマスク着用は保安員らが取り締まっており、違反した場合は体制を危険にさらしたとみなされ、下手をしたら処刑もあり得る。

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消息筋は「食料と薪が尽き、もはや生きていけないと考えた女性は、当局の見回りが始まる前の午前6時にガソリンをかぶって自殺したようだ」と話している。