金正恩の眼前で繰り広げられた「核開発」幹部の射殺事件

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韓国のニュースサイト、リバティ・コリア・ポスト(LKP)が、昨年の10月に北朝鮮で起きた驚くべき事件の内幕を伝えている。

それによると、北朝鮮では昨年10月、核開発を担う原子力総局の幹部が殉職し、機関葬が執り行われたという。死因は明らかにされていなかったが、何事も安全対策の手薄な北朝鮮では、核開発の現場でも被ばくなどによる犠牲が少なくないとされる。

だが、このケースは違った。幹部は金正恩党委員長の眼前で、その警護員(ボディーガード)により射殺されたのだというのだ。

事件は、金正恩氏が同局を視察した際に起きた。同氏が現場職員らと挨拶を交わし、対話を始めようとしたところで事件は起きた。同氏の至近距離にいたこの幹部が後ろを向きながら、上着の内ポケットに手を差し入れようとした。

するとその瞬間、反射的に金正恩氏の身に危険が迫っていると判断した警護員が、同氏と幹部の間に割って入り、目にもとまらぬ速さで拳銃を抜き、幹部を射殺したのだという。

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だが、倒れた幹部の身体をあらためたところ、内ポケットから出てきたのはスマートフォンだったという。警護員の失態であるのは間違いないが、北朝鮮では最高指導者の目の前で動作をひとつ間違えただけで、命を失う危険すらあるということだ。

(参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

そもそも本来は、金正恩氏の視察時にこのようなミスは絶対に起きないようになっている。LKPによれば、視察のスケジュールは何カ月も前に組まれ、国務委員会の行事局が現場を徹底的に点検する。その報告を受け、最終的に決済するのは金正恩氏の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長だ。

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また、軍の関係先を視察する際には、軍総政治局の行事局が現場を仕切るという。

ただ、金正恩氏はときに、気の赴くままに抜き打ちの視察を行う。そのようなときには、最精鋭の警護員たちだけが帯同する。いくら精鋭であっても、皆が皆、極度の緊張に包まれる。今回の事件も、そのような状況で起きたということだ。

実際、北朝鮮メディアが公開した金正恩氏の動静情報を見ていても、「これは抜き打ちだったのかな」と思えるものがたまにある。一方、父の金正日総書記の時代には、そのような情報が公開されたことはほとんどなかった。抜き打ちの視察自体、金正恩氏の方が多いのかも知れない。

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筆者は、特に軍事部門での指導力は金正恩氏が父親を大きく上回っていると見ている。弾道ミサイル発射への立ち合いなど、活発な現地視察がその理由のひとつだ。しかしその分、現場の負担と緊張は増しているのかもしれない。