韓国の文在寅大統領は7日、青瓦台(大統領府)で「新年の辞」を述べ、「金正恩委員長の答礼訪問のための環境が一日も早く整うよう南北が共に努力することを望む」として、金正恩氏の韓国訪問を呼びかけた。
また、「この1年間、南北協力で大きな進展を成し遂げられなかったことは残念」とし、「朝米対話が膠着する中、南北関係の後退まで懸念される今、朝米対話の成功のため努力するとともに、南北協力を一層強化していく現実的な方策を模索する必要性がさらに切実に求められている」と強調した。
金正恩氏は、昨年末に開かれた朝鮮労働党中央委員会第7期第5回総会での報告で、非核化を巡る米国からの対話の呼びかけを「時間稼ぎ」だと非難。「世界は遠からず、朝鮮民主主義人民共和国が保有することになる新しい戦略兵器を目撃することになるであろう」と宣言するなど、強硬路線への回帰を鮮明にしている。
文在寅氏はそれでもな、金正恩氏の対話意思を信じ、従来通り融和路線を進む意向を示したものと言える。
しかし、肝心の金正恩氏には「その気」はうかがえない。北朝鮮の対韓国宣伝サイトである「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は6日、「真実は隠せないものだ」と題した論評で、文在寅氏を「「南朝鮮青瓦台(大統領府)の現当局者」をほぼ名指しし、ボロクソにこき下ろした。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面論評は、「米国の対朝鮮敵視政策に便乗して北侵合同軍事演習を強行して先端攻撃兵器を持ち込み、情勢を悪化させてきたのは、他でもない南朝鮮当局である。(中略)これはまさに現南朝鮮当局者の二重的思考と行動が招いた悲劇である」と主張。また「南朝鮮当局は我田引水の詭弁を並べるのではなく、現実をまっすぐ見て恥知らずな無駄口をやめた方がよい」と切り捨てた。
ここで言われている「二重的思考と行動」というのはすなわち、日本語で言うところの「二枚舌」だ。外交の様々な場面で言動の不透明さを指摘されてきた文在寅氏だが、このような烙印を押した以上、北朝鮮が本気の南北対話に出てくるとは思えない。
(参考記事:「何故あんなことを言うのか」文在寅発言に米高官が不快感)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面そもそも、昨年末の党総会での金正恩氏の報告は7時間以上に及んだとされているが、朝鮮中央通信の報道を見る限り、南北対話に言及した内容は見当たらない。この「冷たいスルー」こそが、金正恩氏の文在寅氏に対する認識を、何より如実に物語っているように見える。
(参考記事:「韓国外交はひどい」「黙っていられない」米国から批判続く)