北朝鮮が公開処刑を再開…「無慈悲な掃討」命じた金正恩氏

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北朝鮮で、しばらく低調となっていた公開処刑が、今年に入り再び活発化したもようだ。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋は韓国デイリーNKとの電話取材で、「2月初め、咸興(ハムン)市の沙浦(サポ)区域にあるヨンデ橋の下の空き地で、薬物密売人らの公開裁判があった。この裁判で、首謀者とされた41歳の男が死刑を宣告され、ただちに銃殺された。さらに2人には無期懲役、1人に20年の懲役判決が下った」と伝えた。

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情報筋によると、被告らは約10年にわたり咸興市で薬物を密売してきたが、昨年10月に17キロもの薬物を持って列車に乗り、中特との国境地帯に向かっていたところで逮捕された。そして、この事件の報告を受けた金正恩党委員長は「無慈悲に掃討せよ」と語り、薬物密売組織のせん滅を命じたという。

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2015年頃までは頻繁に情報の入ってきた公開処刑だが、北朝鮮は国際社会の目を気にしてか、ここしばらく控えていたもようだ。このような形で銃殺刑が執行されたとの情報が入ってくるのは、久しぶりのことだ。

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さらには米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)も、同様の情報を伝えた。今年2月と3月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)市内中心部で公開裁判が行われ、いずれもその場で公開処刑が行われた。

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北朝鮮は、どうしてここへ来て公開処刑を再開したのだろうか。まず考えられるのは、経済制裁の影響である。

1990年代半ばからの大飢饉「苦難の行軍」の期間中に、公開処刑は激増したとの説もある。国民生活の困窮が秩序の乱れにつながり、それを当局が恐怖心で抑え込もうとしたからだと思われる。

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しかし今年、公開処刑の活発化して以降も、北朝鮮国内の治安が改善したとの話は伝わってこない。むしろ、以前は耳にしなかったような凶悪事件や、大胆な少年犯罪の情報が次から次へと入ってくる。

北朝鮮の体制はこれまで、恐怖政治で国民をコントロールしてきたわけだが、歯止めのかからない経済の悪化は、国民の意識から「国家は怖いもの」であるというタガを外しつつあるのかもしれない。