北朝鮮の船員2人の強制送還に対する人権団体・拉致被害家族団体・民間対北放送・北朝鮮民主化運動団体・弁護士団体・民間研究団体――計18団体の共同声明(11月11日)

大韓民国政府は、国際社会からの一致した糾弾にさらされ得る未曽有の事態を繰り広げた。

2019年11月7日、統一部は同月2日に東海(日本海)上の北方限界線を越えてきた北朝鮮船員2人を、板門店を通じて北朝鮮に「追放した」と事後に明らかにした。これが議論を呼ぶと、統一部は政府合同調査で、20代の男性である彼らが東海上で操業中だったイカ釣り漁船で仲間の乗組員16人を殺害し、逃走してきたことが把握されたということを「追放」の理由として明らかにした。

しかし大韓民国政府は、取り返しのつかないこの行為を、調査にはとうてい不十分なわずか6日の間に拙速に行った。政府は、政府が主張した殺害容疑を立証する明確な証拠を提示せず、政府合同調査の過程で表れた「陳述」と「状況」、そして詳細を明らかにすることもできない「情報」が、殺害の疑いを裏付ける根拠であると釈明した。しかし、非司法機関である情報機関が主導し統制した調査において得られた陳述や自白に証拠能力はなく、強制送還を正当化する根拠にもなり得ない。

政府が言及した「状況」も、恣意的または過剰推定した可能性を排除することはできない。大韓民国の領土に到着した北朝鮮住民は、一次的には大韓民国憲法が保障する適法手続きの枠組みの中で弁護人の助力を得て、刑事責任問題を究明し得る機会が与えられなければならない。

大韓民国が1995年に加盟した国連拷問禁止条約は第3条において、「締約国は、いずれの者をも、その者に対する拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠がある他の国へ追放し、送還し又は引き渡してはならない」と定めている。加えて大韓民国は、1990年に加盟した自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)に基づき、生存権、拷問を受けない権利、身体の自由、公正な裁判を受ける権利を保護する義務がある。

統一部は「北朝鮮離脱住民の保護及び定着支援に関する法律」第9条を根拠に強制送還を正当化しようとするが、この条項は、脱北者を「保護対象者として決定していないことができる」としているだけで、どこにも追放への言及はない。まして、北朝鮮よりも人権状況が良好な外国からの移民や難民が本国で殺人容疑を受けていても、わずか3、4日間の調査を行っただけで、司法審査を含む適法手続きを経ずに任意で送還するなどということは、想像するのも難しい。大韓民国政府の行いは文明国の基本的な規範と普遍的な人権基準を放棄するものではないかと疑わざるを得ない。

より大きな問題は、(追放が)大韓民国国民の生命と安全のための避けられない措置であったと、世論をミスリードしようとしたという点である。「陳述」と「状況」のみによってさえ国民の安全が心配になったなら、法的に許される十分な調査期間を活用して、より詳しく調べたり、国内法と適法手続きによる捜査と裁判によって透明かつ合法的に処理したりすべき事柄なのに、無責任に「追放」してしまうことで、正当に行使できる司法管轄権さえ放棄してしまった。また、南北の間には、犯罪容疑者の引き渡しに関する協定や合法的な根拠と手続きがないので、強制送還は違法である。

このような行為のために、違法な強制送還を主導、あるいは関与した大韓民国政府機関の責任者と関係者たちも、北朝鮮の人権問題に関する責任追及の対象から除外することができなくなった。また、彼らを北朝鮮に「追放」したのは大韓民国政府なので、北朝鮮当局が2人をどのように扱うかを追跡して確認することは、大韓民国政府の責任になった。拙速な強制送還による諸問題の責任が大韓民国政府にあるので、以後の状況を透明に公開することを北朝鮮当局に公開的に要求する責任も、大韓民国政府にある。私たちは、大韓民国政府およびこの件に関与した人々の責任を公然と問う。

北朝鮮当局は、送還された2人の現在の状況と今後の計画を明らかにしなければならない。国際社会の普遍的基準に適合する方式で彼らに対するかどうかを知ることができるよう、透明性をもって明らかにし、国際社会が懸念している拷問や非人道的処遇をしてはならず、死刑など極端な処罰をしてはならない。北朝鮮が加入した国際人権法上の義務と人権状況に関する国際社会の深刻な懸念を厳しく想起することを望む。

また国際社会に対しては、国連と国連加盟国による懸念の表明を要請し、大韓民国国会に対しては真相調査を促す。

1969年KAL機ハイジャック被害家族会| 1969 KAL Abductees」Families Association
6.25戦争拉北者家族協議会| Korean War Abductees「Family Union(KWAFU)
国民統一放送| Unification Media Group(UMG)
ナウ| Now Action&Unity for Human Rights(NAUH)
ノーチェイン| No Chain for North Korea
北朝鮮民主化ネットワーク| Network for North Korean Human Rights and Democracy(NKnet)
北朝鮮人権市民連合| Citizens ‘Alliance for North Korean Human Rights(NKHR)
北朝鮮人権委員会(米国)| Committee for Human Rights in North Korea(HRNK)
北朝鮮人権増進センター| Improving North Korean Human Rights Center(INKHR)
北朝鮮戦略センター| North Korea Strategy Center(NKSC)
北朝鮮正義連帯| Justice For North Korea(JFNK)
サンド研究所| South and North Development(SAND)
成功的な統一を作っていく人々| People for Successful Corean Reunification(PSCORE)
NKウォッチ| NK Watch
開かれた北朝鮮| Open North Korea(ONK)
統一戦略研究所| Unification Strategy Institution(USI)
転換期正義ワーキンググループ| Transitional Justice Working Group(TJWG)
朝鮮半島の人権と統一のための弁護士の会| Lawyers for Human Rights and Unification of Korea

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