北朝鮮の中学生「危険な夏休み」…少女搾取に貧富の格差も

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北朝鮮の人々は一年中、なんらかの国家事業や奉仕活動に強制的に動員されている。愛国や国家への忠誠を建前にして、国民を安価な労働力扱いしているわけだが、労働環境は劣悪で過去には悲惨な事故が多発している。

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こうした奉仕活動に動員されるは成人だけではない。子どもたちはクズ鉄拾いに駆り出され、このクズ鉄で製造したとされる戦車には「少年号」という名前をつけられる。青少年は、「農村支援」という名目で農作業に強制的に駆り出される。また、少女たちが理不尽な搾取を強いられている現場もある。

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デイリーNKの内部情報筋によると、北朝鮮の中学生たちが猛暑の中、タバコ農場での労働に動員されているという。黄海南道(ファンヘナムド)の情報筋によると、夏休み中の学生たちが「三泉(サムチョン)タバコ農場」に動員され、約20日間も農場に泊まり込み、タバコの葉摘みと運搬、乾燥などの作業に従事させられている。

三泉タバコ農場は、国営の農場でありタバコの葉を大規模に生産している。今月10日から本格的なタバコの葉摘みや乾燥作業を開始し、労働力の穴埋めとして中学生たちが収穫作業に動員されているのだ。ある脱北者によると、タバコの葉の収穫作業は、極めて厳しい作業だという。

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7月中旬から9月まで続く収穫作業には、計4回に分けて学生が動員される計画で、9月にはタバコの葉が延びるために大学生も動員される予定だという。ここでネックとなるのが、動員された中学生や大学生たちに与える食事や間食だ。夏場の作業だけに水分補給も大切である。これが適切になされなければ、熱中症により命に危険が及ぶことになる。実際、昨年夏の農村支援では熱中症により中高生の死者が続出したとされる。

情報筋によると、食料の一部は当局が準備してくれるが、それ以外は学生自身が負担する。学生を送る学校側に対しては1人当たり3万ウォンを準備するよう通知しているとのことだ。とはいえ、食費を負担できない学生もいるため、裕福な家の学生に対しては6万ウォンを出すことによって動員を免除している。それでも、全ての学生の食費には足らずなんとか方案を探っているというのだ。農村支援を担当する教師の食費も必要になってくる。

情報筋は「三泉郡は裕福な人より貧しい人が多いので、農村支援のたびに食料を用意するお金が常に心配だ。結局、他の学生と分けあって食べたり、農場側で補填したりしなければならない。今年も昨年より事情が改善されないため、学校の教員たちの気苦労が多い」と話す。

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熱中症のリスクを考えれば、貧富の格差が命にも及びかねないということだ。

北朝鮮当局は毛虫による森林被害を防止せよという指示の下、冬休み期間中、酷寒にも関わらず10代の学生たちを毛虫取りに強制的に動員させた。それが終わると、今度はタバコの葉摘みの作業だ。学生達はさぞかし不満が募っているだろう。