金正恩がナイショで乗っていた「密輸レクサス」と危ない話

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米シンクタンクのC4ADSが16日に発表した、国連安全保障理事会の制裁決議で禁止されている北朝鮮によるぜいたく品調達についての報告書によれば、北朝鮮は2015年から2017年にかけて、日本車256台を含む外国製自動車803台を輸入していたという。

調達はロシアの会社を通じて行われたとされ、日本車の内訳は高級車ブランド「レクサス」を含むトヨタ車が211台、日産が43台、三菱自動車が2台となっている。

北朝鮮が安保理の制裁決議をものともせず、ぜいたく品を大量に調達してきた事実は、これまでもたびたび明らかにされてきた。たとえば英紙デイリー・メールは2017年4月、金正恩党委員長が「喜び組」のために、多額の金を費やして「セクシーアンダーウェア」を輸入していると報じたことがある。

(関連記事:金正恩氏が大金をつぎ込む「喜び組」の過激アンダーウェア

北朝鮮国内でレクサスが使用されている事実も、以前から把握されていた。韓国の文在寅大統領が平壌を訪問した昨年9月には、レクサスの大型 SUV「LX570」が複数台使われたとされる。

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また、韓国の情報機関・国家情報院は2017年6月、金正恩氏が米韓による襲撃を恐れて自身の専用車であるベンツを使わず、部下に贈ったレクサスに乗って移動していると国会情報委員会の委員らに報告している。

こうなると気になるのは、「走り屋」としてのエピソードも豊富な金正恩氏が、自らレクサスを運転しているかどうかだが、これについては今のところ情報はない。

(参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

こうした北朝鮮のぜいたく品調達の実態は、具体的な事実が明らかになる度にメディアの注目を集める。しかし、これはそれほどの大事なのだろうか。

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考えても見てほしい。仮に、北朝鮮に大量の高級時計が輸出されたとして、それで周辺国への軍事的脅威が増したり、北朝鮮の国力が強まったりするのだろうか。金正恩氏が、たとえ最高級スポーツカーを100台揃えてみても、それで米韓連合軍に対抗できるわけではないのだ。

そして、金正恩氏がぜいたく品に金を使うほどに、北朝鮮は貴重な外貨を失って制裁への抵抗力を弱める結果につながるのである。

それよりも、よほど深刻な問題がほかにある。北朝鮮は5月、2回にわたり「戦術誘導兵器」の発射訓練を行った。この兵器の正体は短距離弾道ミサイルで、外観も飛行特性もロシア製弾道ミサイル「イスカンデル」と酷似しているとされる。

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関係国もメディアも、証拠がないから遠慮がちに「酷似」とか言っているが、これはハッキリ言ってコピー以外の何物でもない。そして問題の核心は、イスカンデルはロシアから北朝鮮に正式に輸出された記録がないことだ。

輸入したことのないものを、北朝鮮はいかにしてコピーできたのか。

繰り返し言うが、レクサスをたとえ1000台輸入したところで、北朝鮮の軍事力が大幅に強まることはない。しかし核弾頭の搭載も可能とされる「北朝鮮版イスカンデル」は、今そこにある危機、なのだ。

(参考記事:金正恩氏「違反ベンツ」での記念写真を公開された文在寅氏の泣き所