制裁で混乱した北朝鮮国民が走る「禁断の行為」

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米司法省は5月9日、国連安保理制裁などに違反し北朝鮮産の石炭を輸送したとして、北朝鮮の貨物船「ワイズ・オネスト」を押収したが、2ヶ月遅れでこのニュースが北朝鮮国内で広がりつつあると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。いう。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋はRFAに対し、情報は貿易機関の幹部を通じて国内に広がったと説明している。

(参考記事:「悪い結果招く、送還を」北朝鮮、米の貨物船押収に反発

「1万7000トン級の大型貨物船は、北朝鮮では最大のものだ」と述べた情報筋は、「石炭を違法に運び国連の制裁を違反した容疑でインドネシア政府に抑留され、その後に米国が没収した」という過程まで知られていると伝えた。

当局は「米朝首脳会談で制裁が解ける」との宣伝を繰り返してきたが、先日、軍事境界線上の板門店で行われた会談でも制裁を巡り特別な合意がなかったことから、人々の間からは「元帥様(金正恩党委員長)の威光にも傷がつく」「主導権を握って世界政治の舞台を牛耳るなどを言ってたくせに、貨物船の没収も解けないのか」などと皮肉る声が上がっているとのことだ。

一方、制裁で追い詰められた北朝鮮の貿易関係者たちは、「禁断のビジネス」に魅力を感じ始めているようだ。国家の秘密情報を米国に売ろうというものだが、北朝鮮当局にバレれば公開処刑は免れないだろう。

(参考記事:変わらぬ金正恩氏、6人銃殺。理由は「電話帳を売ろうとしたから」

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中国・丹東の中国人貿易関係者がRFAに伝えたところによれば、現地に駐在する北朝鮮の貿易関係者の間で「正義への報酬」が話題になっていると伝えた。

この「正義への報酬」とは、米国務省が運営する通報システムだ。

米国務省の正義への報酬プログラム(RFJ)は、北朝鮮による違法行為の阻止に関する国際的取り組みを後押しするべく、北朝鮮をほう助する特定の活動(マネー・ロンダリング、制裁措置の回避、サイバー犯罪、大量破壊兵器の拡散など)を行う人物の資金メカニズムの崩壊につながる情報に対して、最大500万ドルの報酬を提供します。

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「正義への報酬日本語版ページより)

国務省は、特に求めている情報として北朝鮮産の石炭、北朝鮮に輸入される石油などの瀬取り、国連安全保障理事会の制裁で今年末までの帰国が義務付けられている海外派遣北朝鮮労働者、兵器、贅沢品の輸送などの情報を求めている。

「北朝鮮の貿易関係者は外部の人との接近を警戒していたが、最近になっては向こうの方から近づいてくる」(前出・貿易関係者)。そして、正義への報酬について詳しく知りたがるというのだ。

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「北朝鮮の貿易関係者が韓国など外部の人に自分の方から接触しようとするのは初めて見たが、なんだか北朝鮮の国連制裁違反事例の証拠を提供できると暗示しているようだ」(同前)

つまり、国の機密情報を売り渡して「濡れ手で粟」の儲けを夢見ているということだろう。当局の宣伝とは異なり、経済制裁による貿易の困難さには変化が現れてない。それでも上からは外貨稼ぎのノルマ達成を強いられる。そんな苦境から逃れるために、情報を売って外貨を稼ぎ、ノルマを達成しようと考えたとしても無理もない。

しかし、国内情報を海外に売り渡した者に対する北朝鮮当局の仕打ちは過酷だ。前述したとおり、公開処刑は確実だ。しかも、処刑は最も残酷な方法で行われるだろう。

果たしてそのリスクをおかし、米国との接触に動く貿易関係者が出てくるのだろうか。

(参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態