金正恩の「公開処刑」を隠す文在寅の忖度

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韓国紙・朝鮮日報(日本語版)の19日付の報道によれば、韓国政府は昨年4月の南北首脳会談以降、北朝鮮関連の情報を紹介するウェブサイトから北朝鮮当局による人権蹂躙の事例を大幅に削除したという。

同紙によれは、韓国統一省が運営する「北朝鮮情報ポータル」は、「公開処刑」や「政治犯収容所」など、北朝鮮当局による人権蹂躙の代表的事例に関する内容を全面削除。

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他の問題も含め、人権関連の記述は約4分の1に大幅に縮小した。

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また、やはり同省が運営する「北朝鮮人権ポータル」は、昨年5月から更新が止まり、「事実上放置されている」という。

北朝鮮の人権蹂躙に対する文在寅政権の姿勢を巡っては、韓国の政府系シンクタンク・統一研究院が毎年発行してきた『北朝鮮人権白書』の2019年版の公開が遅れている問題もある。今月7日に同研究院のウェブサイトに一時掲載されたが、すぐに削除された。同研究院は「校正中」と説明しているが、人権問題で非難されることを何より嫌う、金正恩党委員長への「忖度」であることは明らかだ。

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かつては人権派の弁護士だったとされる文在寅氏だが、大統領に就任して以降、北朝鮮における人権侵害について「やめさせる」といった趣旨の明確なメッセージを一度も発していない。「非核化と平和を優先させる」というのが理由だが、これもまたナンセンスな言い訳だ。

韓国のみならず、国際社会がハッキリ認識すべきなのは、北朝鮮の民主化なくして、完全な非核化などあり得ないということだ。

金正恩氏の独裁体制の打倒を目指さない限り、北朝鮮から核がなくなることはない。

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いま、北朝鮮の国民はたいへんな困難の中に置かれている。慢性的な経済難に加え、国際社会からの経済制裁で苦難が倍加している。豊富な地下資源があるのに輸出もできず、食糧が足りなくなったときに海外から買ってくることさえままならない。

これが日本などの民主主義国家であれば、国民は核兵器開発を強行した政権与党を選挙で敗北させ、国際社会との調和を重んじる新たな政府を誕生させるだろう。

北朝鮮ではどうか。民衆が政府批判などを行えば、軍隊に虐殺されるか、政治犯収容所で拷問され処刑されてしまう。

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つまり、北朝鮮の人権侵害と核開発は表裏一体の関係にあり、金正恩氏の独裁権力はそれらの上に君臨しているのだ。

しかしそんなことより、現在進行形で虐待されている人々が大勢いるという現実の前で、文在寅氏はどうしてこうも無感覚でいられるのか。彼が考える人権の概念を、本気で一度聞いてみたいものだ。

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