「金正恩の身辺を守れ!」北朝鮮が国民に緊急指令

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今月17日夜、中国と北朝鮮の国営メディアはほぼ同時に、習近平国家主席が金正恩党委員長の招請に応えて訪朝することを発表した。それとほぼ同時に、北朝鮮国内では「特別警戒週間」への突入が宣言されたと、各地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、習近平氏訪中が発表された直後の17日午後8時30分に、朝鮮労働党恵山(ヘサン)市委員会と人民委員会(市役所)の部長や職員が工場、企業所、人民班(町内会)にやって来て「最高司令官同志(金正恩氏)の身辺の安全をあらゆる方面から擁護、保衛しよう」という題名の緊急指示文を伝達したと伝えた。

17日から26日までを特別警戒週間とし、金日成主席、金正日総書記の銅像、革命史跡や石碑などを守るために、工場、企業所ごとに自衛警備団を組織せよというものだ。

北朝鮮で金日成氏、金正日氏の銅像は最も聖なるものとして扱われ、何かあるたびに特別警戒の対象となる。実際、過激な脱北者団体が銅像を攻撃しようとしたこともあり、北朝鮮当局の懸念は決して杞憂とは言えないだろう。

また、町内で異常な兆候が現れたらすぐに通報せよ、通報内容が正確であれば、通報者には10万北朝鮮ウォン(約1300円)から20万北朝鮮ウォン(約2600円)の報奨金を即時支給するとも書かれている。コメ1キロが4500北朝鮮ウォン(約58円)前後で売られていることを考えると、かなりの金額だ。

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続けて指示文は禁止事項について伝えている。会談の開かれる平壌への立ち入りや頻繁な外出などだ。きょうだいや親戚が自宅にやってきた場合は、無条件で宿泊登録をせよ、さもなくば罰金を科し、嘘をついた場合にはさらなる処罰を科すとのことだ。

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北朝鮮では最高指導者の生誕記念日、党大会など国家的な政治イベントの前後には「特別警戒週間」とし、1件たりとも事件、事故の発生を許さない体制が敷かれる。もし、事件を起こしてしまった場合には、普段よりさらに重い罰を受けるが、今回は中国の国家主席の14年ぶりの訪朝とあって、さらに厳重な警備体制を敷いたようだ。

首都の平壌でも特別警戒週間が宣言された。

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米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の平壌の情報筋によると、17日夜に区域の党委員長や部長クラスの幹部が人民班にやってきて恵山で配布されたものとほぼ同じ題名の緊急指示文を伝達した。

特別警戒週間は18日から23日までで恵山より短い。家で誕生パーティをしたり、食堂で3人以上集まって食事をしたりすることは「逆賊謀議」として保衛部(秘密警察)の取り締まりの対象となり、女性が長い髪をまとめずに外出することも「首都市民の権威を失墜させる」として取り締まられるという。

一方、平壌のデイリーNK内部情報筋は、特別警戒週間の開始に伴い、取締官が抜き打ちで家に上がり込んで検査を行うほどの状況となっていると伝えた。トランプ(カード)で遊ぶこと、誕生パーティを開くこと、家族以外の人と集まること、2人以上で外出することなどが禁止事項として伝えられた。「妙な行動をすればすべて処罰するので軽挙妄動は慎め」とのことだ。

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厳しい統制が事件につながることもある。両江道の金正淑(キムジョンスク)郡では去年8月、金日成主席の夫人だった金正淑氏の銅像の警備を行っていた担当者が若者に殴る蹴るの暴行を加え、瀕死の重傷を負わせる事件が起きている。

しかし、「違反者は厳罰に処す」という脅し文句とは異なり、現地の幹部はこの類の事件が起きればもみ消しに必死になる。「未然に防ぐべき事件を防げかなかった」という理由で処罰の対象となるからだ。