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北朝鮮で、最も儲かるビジネスと言われるのが不動産投資だ。トンジュ(金主、新興富裕層)は、国が進める住宅建設に投資し、その見返りとして受け取った部屋を転売しているほか、独自で住宅の建設、販売を行っている。

しかし、そのネックとなっているのは、北朝鮮の官僚主義の厚い壁だ。官僚たちは様々な許認可権を振りかざし、ワイロをせびり取ろうとする。そんな現状を受け、群がる官僚のワイロ要求を一気に解決する会社が登場して人気を集めていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

平壌の情報筋によると、この会社は昨年できた「平壌ヨンギ建設会社」だ。朝鮮労働党系列のこの会社だが、今年から平城(ピョンソン)、新義州(シニジュ)などで、トンジュに便宜を図るサービスを行っている。

不動産ビジネスを行うにあたって最も問題になるのは、建築許可の取り付けだ。

平安北道(ピョンアンブクト)の貿易関係者によると、トンジュがマンションを建設するには、内閣の国土環境保護省、市の人民委員会(市役所)の都市経営部など7つの機関から建築許可を取り付けなければならない。許可が得られるまでの期間は、ワイロの額やコネによって左右される。

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マンション完成後、販売するには役所から入居許可を取り付けなければならない。しかし、品質と安全を監督する建設監督部にワイロを掴ませても、コネがなければ許可をなかなか得られない。これらの面倒な手続きに、業者は悩まされてきた。

ところが、絶大な権力を持った朝鮮ヨンギ建設会社に任せれば、すべてがスムーズに進む。各機関に支払うワイロの額よりも、この会社に支払う手数料が安くて済むので、トンジュから大きな関心を集めているとのことだ。

それだけではない。

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この会社は、マンションの設計、資材の調達、人件費が安くあがる朝鮮人民軍8総局の建設部隊の人員の調達など様々なサービスを提供しており「この会社を通せばできないことはない」と評判を呼んでいる。いわば、建設部門の「ワンストップサービス」である。

同社は建設に必要な資材を輸入するのに必要な「ワック」と呼ばれる割り当てを持っており、中国の丹東からそれらを直輸入。他の企業よりはるかに迅速に資材を供給し、信用を高めている。

例えば、少し前に中国から新義州の税関に到着した壁用と床用の大理石板は、いずれもこの会社が取り寄せたものだ。トンジュらが新義州で建設中の高層マンションのキッチンと、平城で増築工事中の教育施設の内部に使われるとのことだ。

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RFAは昨年4月に建設資材の輸入を一気に引き受ける国営企業ができたと報じているが、おそらく同じ会社のことだろう。

朝鮮労働党がこの会社を設立した目的は、深刻化する外貨不足の解決にある。

通常、外貨は外国との貿易で稼ぐものだが、北朝鮮は国際社会の制裁で主力輸出品の鉱物、海産物、繊維製品などが輸出できなくなっている。一方で、国内市場では莫大な外貨が流通している。北朝鮮当局は、レジャー施設や高級レストランなど外貨払いの施設を作って国内の外貨を吸収してきたが、深刻な外貨不足に直面し、より多くの外貨をかき集めるために、このような「便利な会社」を設立したということだ。

しかし、不動産価格は昨年から下がり続け、最盛期の3分の1まで落ち込んでいる。トンジュも投資を控える傾向にあり、せっかくのワンストップサービスも、真価を発揮しきれていないものと思われる。