「逮捕者を拷問して殺している」米国の非難に北朝鮮が反発

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米国務省は6日、毎年恒例の「北朝鮮自由週間」(今年は4月28日~5月4日)に合わせ、「数十年間、北朝鮮政権は住民の人権と根本的な自由を残酷に侵害してきた」などとする報道官声明を発表した。

北朝鮮自由週間の期間中、脱北者団体のメンバーら20人余りが渡米。ワシントンDCでの会合にホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)や国務省、議会関係者を招待して北朝鮮の人権侵害状況について説明した。国務省の声明は、これを受けて出されたものでもある。

声明はまた、北朝鮮の政治犯収容所では10万を超える人々が苦痛を受けていて、抑圧的な環境から脱北しようとする者が捕まれば拷問されたり殺害されたりするとも指摘した。

これに、北朝鮮は猛反発した。北朝鮮外務省傘下の米国研究所政策研究室長は11日、朝鮮中央通信の質問に答える形で「米国務省が発表した公報文(声明)は虚偽とねつ造で一貫した詭弁」だと指摘。「これを通じて米国は、真に朝米関係の改善を願わず、わが体制を転覆するための機会だけをうかがっているという下心をさらけ出した」と主張している。

しかしハッキリ言って、この程度の非難合戦は、米朝関係における人権問題の潜在的重大さに比べてみたとき、まだまだ低いレベルに収まっていると見るべきだ。

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国務省の声明が発表されたのは、「北朝鮮版イスカンデル」として知られるようになった短距離弾道ミサイルの1回目の発射を行って2日後だ。そのため一部には、この声明がミサイル発射に対する意趣返しと見る向きもあるようだが、真相はわからない。

だが、米国が北朝鮮に対し、「人権カード」を持っているのは確かだ。トランプ政権はその性格から、このカードを積極的に使うことをしてこなかっただけであり、議会などでは北朝鮮の人権問題を巡り様々な動きが続いている。

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トランプ政権がこのカードを本気で持ち出せば、米朝対話は完全にとん挫することもあり得る。だからしばらく、そのような「奥の手」を使うことには慎重であるはずだ。

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一方で北朝鮮国内では、制裁の影響による経済難で社会秩序が乱れているためか、公開処刑が再開されたとの情報がある。その事実が確認されれば、国際社会の対北人権圧力はいっそう強まらざるをえない。

米国政府が意図せざるとも、非核化を巡る交渉停滞は、必然的に北朝鮮の人権問題に注目を集めていく流れにつながるかもしれない。