北朝鮮が「長期的な弱体化」を宿命付けられた決定的な理由

昨年の北朝鮮の実際の兵力規模は105万人の水準であり、韓国国防省の発表をはじめとする既存の推計はやや過大評価ではないか、との指摘が専門家から出ている。

たしかに、北朝鮮軍は最近、人口減少や兵役忌避により人員確保に苦労しているとされており、無視できない指摘と言えそうだ。

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韓国国防研究院のタク・ソンハン責任研究員は、4月30日発表の「北朝鮮経済レビュー」(韓国開発研究院)に寄せたレポート「北朝鮮軍の実際の兵力数推定と今後の展望」で、直近の北朝鮮の正規軍の兵力規模を104万8千人と推計した。

その算出方法は、韓国統計庁が推計した北朝鮮の16歳の男性人口をベースに、韓国と同じ徴兵率70%を適用。さらにここから、準軍事組織と早期除隊者の数を除いたという。

この方法で北朝鮮の正規軍の兵力推移を分析すると、2001年には94万4千人であったものが、2006年に100万人台に乗り、2013年に110万5千人でピークに到達。その後は徐々に減少しているという。

一方、同レポートによれば、韓国国防省は北朝鮮軍の兵力規模を2000年代初めに119万人、2008年に120万人、2016年以降は128万人と発表している。同省のこうした分析は、金正恩党委員長が執権して以降、北朝鮮は兵力の増強を行っているとの判断に基づくものだという。

しかし、北朝鮮の若年男性の人口が減少している今、このような兵力増強は容易でないはずであるというのがレポートの主張である。

また、北朝鮮軍が人員確保しているのは、人口減少のためだけではない。前述したとおり、兵役忌避の風潮も少なからず影響しているはずなのだ。

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その原因は、物資の横流しによる軍隊内での飢餓や、女性兵士に対する性的虐待の横行にある。

さらにレポートは、韓国統計庁による北朝鮮の長期人口推計資料をベースに、正規軍の規模は2031年に87万1千人まで減少すると分析。ただ、「兵営国家」である北朝鮮が兵力減少を黙って見過ごすはずもないので、徴集率を高めたり、女性兵士の割合を拡大したりするだろうと予想している。

ただ、そのような試みは、若い労働人口を生産部門から奪い、経済成長率の低下を招くとも指摘している。いずれにせよ、「兵営国家」としての北朝鮮は、弱体化の運命を免れないのかもしれない。

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